エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
〝えーきくん〟が白馬の王子のように迎えに来るだなんて妄想はしていないものの、大人になった彼はどんな風に成長したかな、と思うと、ちょっぴり胸がときめく。
おそらくあれは私の初恋だったんだろう。そんな記憶ばかり思い返して満足しているようでは、この先もしばらく男性には縁がなさそうだ。
理想の温かい家庭を築けるのは、いったいいつになるやら。
心の中でそう自嘲すると、昼食を調達するため重い腰を上げてコンビニに出かけた。
夜になると涼帆と連絡が取れ、明日、彼女の昼休みに合わせてランチすることになった。
翌日、彼女の職場近くにあるカフェへと向かう。先に着いてた私がテラス席でメニューを眺めていると、髪をきっちりポニーテールに結い、ブラウスと細身のパンツに身を包んだ涼帆が急いだ様子でやってきた。
「お待たせ~。頼むもの、もう決めた?」
「うん、パンケーキとサラダのセットに、アイスコーヒーで」
「じゃ、私も同じにしようっと」
涼帆が手を上げて店員を呼び、注文を済ませる。
料理が届くまでの間に仕事を失った経緯を話すと、涼帆は納得したように頷いた。