エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「いつの間に! おめでとう~! お相手は会社の人?」
「ありがとう。彼、社長付の秘書なの。うちの社長って本社にいるのが嫌いらしくてよく店の状況を見に来てくれるんだけど、その時に同行している彼と親しくなって……自然と付き合う流れに」
紫藤インテリアの社長秘書ということは、有能なエリートに違いない。涼帆も真面目で努力家だし、きっとお似合いのふたりなんだろうな。
「彼の写真はないの?」
「ごめん、あんまり撮られるの好きじゃないみたいで」
「そっか~、残念。じゃ、結婚式のお楽しみにしておく」
結婚相手の顔もだけれど、涼帆の晴れ姿も楽しみだ。
「そんなに期待するような顔じゃないけどね」
「でも、涼帆にとっては誰よりイケメンでしょ?」
「そりゃまぁ、ねえ……」
照れくさそうに頬を染めつつも、口元を緩めて肯定する涼帆。
幸せそうでいいなぁ。そりゃ、私なんかと旅行している場合じゃないよ。
友人の幸せそうな姿にこちらまでウキウキした気持ちになり、口に運ぶパンケーキもいっそう美味しく感じられた。