エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

「ただいま……」

 ランチから帰宅すると、しんとした部屋が私を出迎えた。涼帆と話して楽しかったはずの気分が、なんだか急激に落ち込む。

 長年お世話になった叔父夫妻と別れ、学生時代から仲のよかった一番の友人も結婚……。

 卑屈になるつもりはないのだけれど、単純に寂しい。

 叔父さんたちと暮らしたこの家にいるから、つい暗くなってしまうのかな。いっそひとりでも旅行に出て、孤独に耐性をつけた方がいいのかも。

 旅行先で電撃的な出会い……とまではいかなくても、同じようにひとり旅の女性がいたら、声をかけて友達になるくらいはできそうだし。

 そんなことを考えていると、段々とひとり旅に前向きな気持ちになってくる。

「もう、予約しちゃおうかな……」

 枕元に置いたスマホを再び手に取り、フィンランド旅行について検索する。

 一旦やる気に火がつくと眠気もどこかへいってしまい、遅くまで旅行サイトとにらめっこをして、その日のうちに航空券とホテルの宿泊予約がセットになった、六日間のひとり旅プランを予約した。

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