エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
水玉模様のキャンディ

 六月上旬。梅雨入り前だが蒸し暑い日本に別れを告げ、成田からフィンランドの首都、ヘルシンキへと向かう直行便に乗った。

 午前中に成田を出て、ヘルシンキには現地時間の午後到着する。

 この時期のフィンランドは日本と同じく季節は夏。しかし湿度が低いので、観光にはうってつけの爽やかな気候だ。

 五月のゴールデンウィークが明けて夏休みにもまだ早いので、旅行費用も抑えられるなどいいことづくめ。

 加えてフィンランドはとても安全な国なので、女性のひとり旅も珍しくないそうだ。

 行ってみたいヴィンテージ家具の店や工房を兼ねたショールームなどもたくさんチェックしてきたので、期待が膨らむ。

「――失礼」

 窓際三列、中央の席に座っていたら、後から来た男性が私の前を通って左隣に座る。

 ビジネスマン風の男性で、前の席につっかかってしまいそうなほど脚が長い。チラッと横顔を見たら、その整った目鼻立ちにドキッとしてしまった。

 とんでもなく美形だが、窓の外を眺める視線は気だるそうで、ほんの少し不機嫌そうにも見える。

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