エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

 たったひとりの旅なのでどの店を訪れる時も少し緊張したけれど、店に並んだ品物を見ればあっという間に緊張なんて忘れて、あれもこれも欲しいとなってしまった。

 初日なのでとりあえず買うのは小物類にとどめようと決めていたけれど、その小物類がまた、どれも魅力的だから困る。

 あちこち巡っているうちに夕方になったが、北欧にあるフィンランドの夏は、いつまでも太陽が沈まない白夜。

 おかげで空港へ到着したのが午後でも、ショッピングを十分堪能できた。

「このペアマグカップかわいい……あっ。このケトルも!」

 午後六時半頃、私はすでに両手にショッパーバッグをいくつか提げているにもかかわらず、有名デザイナーの雑貨ショップでまたしてもテンションが上がっていた。

 つい日本語で独り言を炸裂させ、品物を手に取る。

 店の買い付けに来たわけではないしこれからひとり暮らしになるのだから、食器なんてそうたくさんはいらないのはわかっている。

 しかし、北欧らしいナチュラルなキッチン雑貨にときめきが止まらなかった。

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