エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
キラキラとしたオーラを放つ社長さんに会釈をして、店の外へ出た。
びっくりした……。飛行機で席が近かっただけの相手と空港の外でバッタリ会うなんて、なかなか確率の低い出来事だ。
それにしても、彼はフィンランドの土地に慣れているようだった。秘書を連れているくらいだから仕事関係だろうけれど、プライベートでも来ていそう。
……なんて、さすがにもう会うことはないであろう人の背景をあれこれを想像しても仕方がないけれど。
重い荷物を手に、今度は夕食を食べられる場所を求め、私はまたヘルシンキの街を歩きだした。
夕食を終えた後はホテルに戻り、ようやくひと息つく。予約した『ヴィオラ』というホテルは高級というわけではないが、北欧らしいテキスタイルの寝具やカーペットがかわいらしくて気に入っている。
シャワーを浴びて横になると一気に疲労と眠気が襲ってきて、ベッドに寝そべったまま街の景色をぼんやり眺めているうちに、まぶたを自然と閉じていた。
翌日は朝から時間があったので、博物館や教会などの観光中心にヘルシンキの街を歩いた。
途中、飲み物が欲しくなって立ち寄ったスーパーでなにげなくお菓子売り場を見ていたら、袋入りになったあの水玉模様の飴を見つけ、思わず立ち止まる。