エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「今回はお義父さんも参っているみたいで、『うちの米作りも終わりにするしかないな』って、寂しそうに電話をかけてきたの。もちろんお義父さんの方から継いでくれとは言わないけれど、私たちは今まで十分好きなことをやらせてもらったから、その恩返しをしようって、ふたりで決めてね」
叔母さんがと叔父さんが目を見合わせてうなずく。
お世話になった人に恩返ししたい気持ちは私にもよくわかるし、私も孫だもの、祖父を心配する気持ちは彼らと同じだ。叔父の店がなくなってしまうのは、寂しいけれど……。
「そういう事情なら、私も反対しません。お祖父ちゃんもきっと安心しますね」
「ありがとう。亜椰ちゃんが選んできてくれる家具や小物がどれも素敵だから、若い人もお店に来るようになってくれた。私たちだけのセンスではすぐにつぶれていたと思うわ。今まで本当にありがとう」
店を閉めるだけでなく、まるで別れが迫っているかのような叔母の言い方に違和感を覚え、胸が微かにざわめく。
彼らの行くところなら私だってついていくに決まっているのに。それこそ、今までの恩返しがしたいから。