エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「大したことはしてません。それより私もお手伝いしますからね、実家の農業」
「亜椰ちゃん、そのことなんだけどね……」
顔を上げた叔父がまっすぐに向けてきた視線に、胸のざわめきが大きくなる。だってなんだか、私を突き放すような目をしているんだもの。
不安になって、膝の上で握りしめた手にギュッと力が入る。
叔父が意を決したように、すうっと息を吸った。
「俺たち、亜椰ちゃんは東京に残って、大好きなインテリアの仕事を続けるのがいいと思ってるんだ」
「素人の私たちと違って、亜椰ちゃんは大学できちんとインテリアや空間デザインのことを学んでいるんだもの。それを生かさなきゃもったいないわ。静岡には、私たちふたりだけで行く。そう決めたの」
決めたって……その前にひと言、相談してくれてもよかったのに。
「でも、そういう勉強も全部このお店のためにしたことで……」
進路に悩んでいた高校生の頃、叔父たちは私の両親が残してくれたお金で大学へ行きなさいと言った。
彼らのために就職も視野に入れていた私は少し悩んだけれど、大学で彼らの店に役立つことを勉強にし、それからお店を手伝おうと決めた。