エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
斜め下に視線を落として、憂いの滲んだ苦笑を浮かべる瑛貴さん。
たった数回会っただけでも彼が家具を愛する人だというのはわかっていたので、意外な言葉に目を丸くする。
「どうして燃やしたいだなんて?」
「それは……いや、いい。あまり愉快な話じゃないんだ。それよりも、きみとのこれからについて話したい」
「これから……ですか?」
怪訝な眼差しで瑛貴さんを見つめ返す。こうして食事をしながら昔話をして懐かしさに浸るだけでなく、彼には別の目的もあると言うの?
「きみが覚えているか定かじゃないが、俺はあの時の約束を叶えたいと思ってる」
約束って……。
私の記憶にある彼との約束はひとつしかない。けれど、瑛貴さんが叶えようとする理由が思いつかない。
だいたい、あの頃はお互いに子どもだったのに。
「私も、約束自体は覚えています……でも」
「付き合っている人がいる?」
「いいえ」
「それじゃ、好きな人がいる?」