エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

 そうか、シャワーを浴びるから脱いだのね……。早とちりした自分を恥じるが、少しホッとする。どこで寛がせてもらうか迷い、とりあえずソファに腰を落ち着けた。

「それにしてもすごい部屋……」

 天井のシャンデリアをぽかんと見上げ、呟く。庶民の私は部屋の広さにも豪華さにもソワソワしてしまうけれど、優雅なオーラを纏う瑛貴さんにはしっくりと馴染んでいた。

 初恋の思い出があるとはいえ、明らかに上流階級に属する彼が私に好意を寄せてくれているなんて、まだ信じられない。

 でも、夢じゃないんだよね……。

 心なしか熱いため息をつき、なにげなく目を閉じたその時。デスクの上にあった瑛貴さんのスマホが振動する音が聞こえた。

 何度も同じリズムで震えるので、電話がかかってきているようだ。瑛貴さんに伝えたいけれど、バスルームを覗くわけにもいかないよね……。

 とりあえずそのまま放置してみたものの、彼のスマホはその後も何度か震えたので、バスルームのドア越しにでもひと言伝えようと思い、ソファから立ち上がる。

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