エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「麻人さんも一緒なら安心ですね。今、麦茶持ってきます」
「ありがとね」
縁側に腰かけた叔母さんに、胡桃がまたおもちゃのキッチンで作った料理を持って近づいていく。
「はぁい、はるおばたん、でちたよ~」
「すごいね胡桃ちゃんは、立派なコックさんだ」
農作業で疲れているだろうに、叔母さんはそんなことを感じさせない穏やかな笑顔で胡桃のままごとに付き合ってくれる。
キッチンまで聞こえてくるふたりのやり取りにほっこりしつつ、氷を入れたグラスに麦茶を注いで叔母さんのもとへ運んだ。
「悪いわね」
「いえいえ。私は仕事もせずこの家に置かせてもらっている身ですし、これくらい当然です」
「そんなの気にしないでいいっていつも言ってるのに……また求人を見てたの?」
叔母さんが、畳の上に広げてある求人チラシに目をやる。
「はい。胡桃も年明けには三歳になりますし、叔母さんたちに頼りっぱなしの生活からそろそろ前に進まないとって」
「そんなに焦る必要はないわよ。春まで待てば、胡桃ちゃんは幼稚園。それまではゆっくり子育てしたらいいじゃない」