エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
その日の夕食は、昼間叔父さんを手伝っていた麻人さんも招いての賑やかな食事会だった。畳敷きの居間で座卓を囲み、ビールで乾杯する。
「今年は雨が少なかったから豊作だ。稲がずっしり重くて収穫に骨は折れるが、うれしい悲鳴ってやつだな」
対面の席でビールを飲みぷはっと息をついた叔父さんが、満足げに言う。一日中外にいたせいか、お酒を飲み始めたばかりなのにすでに赤ら顔だ。
「手伝いが必要ならいつでも言ってください。うちは新沼さんのところより小さい田んぼだし、兄夫婦もいて人手は足りてるんで」
叔父さんのグラスにビールを継ぎだしながらそう言ったのは、胡桃を挟んで私の隣に座っている麻人さんだ。
耳回りと額をスッキリ出した短髪が爽やかで、直線的な眉と人の好さそうな垂れ目が特徴。
叔父さん達の仕事を手伝うだけでなく、ひょっこりこの家にやってきて胡桃と遊んでくれたりもするので、ご近所さんと言うよりもはや家族に近い存在だ。
「麻人くんがいっそうちの息子になればいいのになぁ。胡桃ちゃんも懐いてるし。なぁ、亜椰ちゃん」
「えっ? ……えぇまぁ」
「お父さん、飲みすぎよ」