エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける

【防犯パトロール】と書かれた腕章をつけて近所の方と担当地区を徒歩で回るだけだが、ちょうどその日の昼間、胡桃を叔父さんと叔母さんに預けて一時間ほど不在にしていた。

 だとしたら叔父さん達が話していた高級車というのも、瑛貴さんが乗っていた車?

 いや、それより気になるのは――。

「驚いたよ。そこにいた小さな女の子……胡桃ちゃんが遊んでいたのが、きみに贈ったあのキッチンだったから」

 こちらの不安を見透かしたように胡桃の名を出した彼に、ドクッと鼓動が跳ねる。

 瑛貴さんが、胡桃に会っている……。名前を知っているということは、本人と話したのだろうか。

 まさか、自分の子だと勘付いていないよね?

 なにか言いたいけれど逆に墓穴を掘りそうで、言葉が見つからない。

「胡桃ちゃんに聞いてもママの名前は教えてもらえなかったが、あのキッチンがあるならきみはここにいるはずだと踏んで、もう一度訪れる決心をした。亜椰……きみに会うために」

 私に会うためって……今さらどうして?

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