エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
「今日のように突然訪問するのはもうやめるから、連絡先だけ教えてくれ。教えてもらえれば帰る」
「勝手です、そんな」
「連絡がつかないと、またきみのいない隙にやってきて、胡桃ちゃんに接触するかもしれないぞ」
飄々と脅しのような条件を出してくる彼に、ますます怒りのボルテージが上がる。
瑛貴さんって、こんなに嫌な人だった?
そう自問してみるものの、よく考えたら一夜をともにしただけの彼について、私は知らない事ばかりだ。
知る必要もないと思っていたけれど……彼にこれ以上生活を踏み荒らされないよう、私から釘を刺さなくては。胡桃を守れるのは私だけなのだ。
「……わかりました」
渋々承諾して、ワイドパンツのポケットに入れていたスマホを出す。画面に電話番号やアドレスの情報を表示させると、ぶっきらぼうに彼へ突きつけた。
瑛貴さんはそれを受け取りさっそく自分のスマホを操作し始める。
「教えるからには、約束を破って胡桃に接触するのは絶対にやめてください」
「わかっている。最初に落とすべき城は、亜椰。きみだからな」