エリート御曹司はママになった初恋妻に最愛を注ぎ続ける
自分の本心
瑛貴さんが目の前に現れてから三日が経った。
あれからとくに連絡はないので、彼と再会した実感が徐々に薄れ、夢だった気さえしてくる。
過去に本気で好きになった相手とはいえ、今の私は胡桃の母親だ。男の人とどうこうなりたい欲求なんてないし、そんな時間があるなら胡桃のことを考えてあげたい。
絵本を読んであげているうちに眠ってしまった胡桃の頬を撫で、「おやすみ」と小声で呟く。毎日、こうして我が子の寝顔を眺められるだけで幸せなのだ。
胡桃だって、きっとそう。この家には私だけでなく、叔父さんや叔母さんもいる。
たとえ父親がいなくたって、私たちが全力であなたを幸せにしてあげるからね。
胡桃の寝ている部屋を静かに抜け出し居間へ入ると、さっきまでそこでテレビを見ていた叔父と叔母の姿なく、代わりに麻人さんがいた。
畳に胡坐をかいてテレビを見ていた彼が、私に気づいて振り向く。
「あれっ? 来てたんですね。叔父さんたちは?」
「こんな時間にごめん。亜椰ちゃんにどうしても話したいことがあってきたんだ。新沼さんたちには別の部屋に行ってもらった。……ふたりきりで話したいから」
「なんのお話ですか? 青年会のお仕事とか?」