生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜
15.リリアとルーカス2
「なっ……」
ルーカス様の顔を両手で挟みこみ、覗き込むと、私の目としっかり合う。
ルーカス様の目が驚きで瞬いていた。
「いいですか、ルーカス様。この国が滅んで、ルーカス様が死んで、リヴィア様が本当に喜ぶと?」
「お、お前に何がわかる……」
ルーカス様の、さっきまでの荒んだ瞳に色が戻って来る。
ルーカス様だって本当はわかっているんだ。だからこそ、苦しんでいる。
「リヴィア様はそんな酷い聖女だと?」
私の言葉に、ルーカス様の瞳に力が宿った。
「リヴィアを侮辱するのは許せない」
いつもの冷たい目じゃない。だけど怒りをぶつける、心のある瞳。
私はやれやれ、とベッドから飛び降りた。
「リヴィア様が侮辱されるような行動をされているのはルーカス様ですからね?」
「何?」
怪訝そうな顔のルーカス様に私は続けた。
「リヴィア様のポーションを独占しているという噂が流れているのも、投げやりな行いをされているのも、全部、ルーカス様をダメにした聖女様のせいだと皆思うってことです!」
「!」
私の言葉にルーカス様は黙ってしまった。
でも、本当のことだ。『リヴィア』を想ってくれるのは嬉しいけど、ルーカス様の時間が止まったままなのは嫌だ。もう、先に歩き出して欲しい。
ルーカス様は、ふうー、と息を吐き、こちらを見て少し笑った。
「やっぱりお前は生意気だ」
「ありがとうございます」
ルーカス様の皮肉な笑い方に、私も平然と返す。
「不敬罪で極刑にすることも出来るんだぞ?」
ルーカス様は口の端を少し上げ、私に脅しともいえる言葉を放った。
「あら。リヴィア様が命をかけた国を守るには、私の聖女の力が必要なのはルーカス様もご存知のはず。ルーカス様はそんなこと絶対にしません」
ワンピースの裾を持ち、深くお辞儀をすると、ルーカス様はフハッ、と声を上げて笑った。
ルーカス様が笑った!
「存分に働いてもらうからな」
「望むところです!」
ニヤリと笑ったルーカス様に私もニヤリと返した。
「あ、その前にお食事をちゃんと取ってくださいね!」
私がズズイとルーカス様に近寄ると、ルーカス様は何だか歯切れが悪い。
「ルーカス様?」
「リヴィアがいなくなってから食事が喉を通らないんだから仕方ないだろう!」
十歳相手に顔を赤くしながら言い訳するルーカス様。何だか可愛い。
うーん、でもそれなら無理にたべさせても吐いちゃうし……。どうしたら良いんだろう?
私はうーん、と少し考えて、良いことを思いついた。
「ルーカス様! 夕食は私に任せてください!」
「お前に?」
訝しげに見るルーカス様に私は自信たっぷりに答えた。
「絶対に食べさせてみせます!」
ルーカス様は信じていなかったけど、これなら絶対に大丈夫という確信が私にはあった。
とりあえず、夕食の時間に入室する許可をルーカス様にもらい、私は客間を後にした。
「またやりあってましたね〜」
外に出ると、扉の外で護衛をしていたユーグ様にからかわれてしまった。あんなに怒鳴りあっていては、声も漏れているだろう。
私はユーグ様にお礼を言うと、すぐさま自分の部屋へと向かった。
「トロワ!」
部屋に入るなり私は、ベッドでお昼寝をしていたトロワに呼びかけた。
「おう、リリア、どうしたんだ?」
「私がポーション作ったら、リリアと同じ物になる?」
私はトロワに事情を説明した。
食事を受け付けないルーカス様。それは精神的なことが理由な気がする。例えば、『リヴィア』のポーションをスープに混ぜたら、食べられたりしないかな?
「なるほどねえ。でも、『リヴィア』だってことは言わないんだろ?」
「それには考えがあるから大丈夫!」
「ふーん、回りくどいことするなあ」
面倒くさがりながらもトロワは説明をしてくれた。
「結論から言うと、出来る。リリアの方が力が強いから、調整は必要だがな」
「それって、難しい?」
「リリアなら出来るだろ!俺もいるしな」
自慢気に胸をドン、と叩き、トロワが言うので、何とも頼もしい。
そうして私は、トロワとポーション作りをこっそり始めることにした。
ルーカス様の顔を両手で挟みこみ、覗き込むと、私の目としっかり合う。
ルーカス様の目が驚きで瞬いていた。
「いいですか、ルーカス様。この国が滅んで、ルーカス様が死んで、リヴィア様が本当に喜ぶと?」
「お、お前に何がわかる……」
ルーカス様の、さっきまでの荒んだ瞳に色が戻って来る。
ルーカス様だって本当はわかっているんだ。だからこそ、苦しんでいる。
「リヴィア様はそんな酷い聖女だと?」
私の言葉に、ルーカス様の瞳に力が宿った。
「リヴィアを侮辱するのは許せない」
いつもの冷たい目じゃない。だけど怒りをぶつける、心のある瞳。
私はやれやれ、とベッドから飛び降りた。
「リヴィア様が侮辱されるような行動をされているのはルーカス様ですからね?」
「何?」
怪訝そうな顔のルーカス様に私は続けた。
「リヴィア様のポーションを独占しているという噂が流れているのも、投げやりな行いをされているのも、全部、ルーカス様をダメにした聖女様のせいだと皆思うってことです!」
「!」
私の言葉にルーカス様は黙ってしまった。
でも、本当のことだ。『リヴィア』を想ってくれるのは嬉しいけど、ルーカス様の時間が止まったままなのは嫌だ。もう、先に歩き出して欲しい。
ルーカス様は、ふうー、と息を吐き、こちらを見て少し笑った。
「やっぱりお前は生意気だ」
「ありがとうございます」
ルーカス様の皮肉な笑い方に、私も平然と返す。
「不敬罪で極刑にすることも出来るんだぞ?」
ルーカス様は口の端を少し上げ、私に脅しともいえる言葉を放った。
「あら。リヴィア様が命をかけた国を守るには、私の聖女の力が必要なのはルーカス様もご存知のはず。ルーカス様はそんなこと絶対にしません」
ワンピースの裾を持ち、深くお辞儀をすると、ルーカス様はフハッ、と声を上げて笑った。
ルーカス様が笑った!
「存分に働いてもらうからな」
「望むところです!」
ニヤリと笑ったルーカス様に私もニヤリと返した。
「あ、その前にお食事をちゃんと取ってくださいね!」
私がズズイとルーカス様に近寄ると、ルーカス様は何だか歯切れが悪い。
「ルーカス様?」
「リヴィアがいなくなってから食事が喉を通らないんだから仕方ないだろう!」
十歳相手に顔を赤くしながら言い訳するルーカス様。何だか可愛い。
うーん、でもそれなら無理にたべさせても吐いちゃうし……。どうしたら良いんだろう?
私はうーん、と少し考えて、良いことを思いついた。
「ルーカス様! 夕食は私に任せてください!」
「お前に?」
訝しげに見るルーカス様に私は自信たっぷりに答えた。
「絶対に食べさせてみせます!」
ルーカス様は信じていなかったけど、これなら絶対に大丈夫という確信が私にはあった。
とりあえず、夕食の時間に入室する許可をルーカス様にもらい、私は客間を後にした。
「またやりあってましたね〜」
外に出ると、扉の外で護衛をしていたユーグ様にからかわれてしまった。あんなに怒鳴りあっていては、声も漏れているだろう。
私はユーグ様にお礼を言うと、すぐさま自分の部屋へと向かった。
「トロワ!」
部屋に入るなり私は、ベッドでお昼寝をしていたトロワに呼びかけた。
「おう、リリア、どうしたんだ?」
「私がポーション作ったら、リリアと同じ物になる?」
私はトロワに事情を説明した。
食事を受け付けないルーカス様。それは精神的なことが理由な気がする。例えば、『リヴィア』のポーションをスープに混ぜたら、食べられたりしないかな?
「なるほどねえ。でも、『リヴィア』だってことは言わないんだろ?」
「それには考えがあるから大丈夫!」
「ふーん、回りくどいことするなあ」
面倒くさがりながらもトロワは説明をしてくれた。
「結論から言うと、出来る。リリアの方が力が強いから、調整は必要だがな」
「それって、難しい?」
「リリアなら出来るだろ!俺もいるしな」
自慢気に胸をドン、と叩き、トロワが言うので、何とも頼もしい。
そうして私は、トロワとポーション作りをこっそり始めることにした。