生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜
36.確かめあった想い
「リヴィア……! リヴィア!」
ルーカス様は何度も『リヴィア』の名前を呼んでいた。私は彼の腕の中で、何度も返事をした。
しばらく私を抱きしめていたルーカス様は、身体を引き離し、私の顔を見つめると、言った。
「その金色の瞳……。やっぱり、リヴィア……」
綺麗な青い瞳は涙に濡れていて、熱を帯びて私を捕らえる。
愛しげに、甘い声で囁くルーカス様に私は恥ずかしくなってしまった。
「ルーカス様、態度急変すぎません?」
「もうルーカスとは呼んでくれないのか?」
私の言葉はスルーで、増々甘く囁くルーカス様。
もおおお!
口をパクパクさせていると、急に肩の上にいたトロワが光りだした。
「何?!」
眩い光を放つトロワは、宙にフワリと浮くと、その身体を変化させた。
猫だった姿は、『リヴィア』の従属だった頃のライオンの姿へと変えた。
「トロワ……?」
光が収まり、私の肩にいた頃のトロワとは身体の大きさが違いすぎる。目線が上になり、戸惑いを隠せずにいると、ルーカス様も驚いていた。
「これは……リヴィアの……どういうことだ?!」
トロワはゆっくりと首を私の前に垂れると、嬉しそうに言った。
「ルーカスが『リヴィア』のことを信じた時が、俺が元の姿に戻る鍵だったんだ」
「ええ……そうだったの?」
だからトロワは、ルーカス様に『リヴィア』だって言っちまえって何度も言っていたのね。
「何で教えてくれなかったの?」
「女神様と言わない約束だったのもあるけど、俺は……リリアの気持ちを優先させたかったから」
「トロワ……!」
自分のことよりも、私のことを想ってくれていたトロワに感動して、私は大きな彼の身体を抱きしめた。
「トロワ、何だって?」
トロワの言葉がわからないルーカス様は、ちょっといじけて後ろから声をかけてきた。
「あっ、ごめんなさい。ルーカス様に生まれ変わりのことを信じてもらえたのがきっかけで、元に戻ったみたい」
「本当にトロワ……リヴィアなんだな……」
私の言葉に、ルーカス様は目を閉じて噛み締めていた。
「ルーカス様?」
私は『リヴィア』の生まれ変わりだけど、今はリリアだ。ルーカス様の中にちゃんとリリアはいるのだろうか?私はそんな心配でルーカス様を見上げた。
「ルーカスと呼んで欲しい」
急に『男の人』の顔になったルーカス様は、ジリジリと私に迫る。
私は思わず後ずさりをして、トロワの身体にドン、とぶつかってしまった。
「リヴィア……」
ルーカス様はトロワの身体に手を置き、私をすっかり捕らえてしまった。
「俺で壁ドンするなー」
トロワの声はもちろんルーカス様には届かず。
「リヴィア?」
ルーカス様の顔が、至近距離まで近付いてくる。
心臓が破裂しそうなのと同時に、切なさがこみ上げた。
「ル、ルーカス様!! 私はリリアです! やっぱりリヴィアとしてしか見てくれないんですか?」
ルーカス様から逃げようと顔を背けながらも、そんなことを私は言ってしまった。
でも、ルーカス様は私を逃してはくれなくて。
「君は、リヴィアであり、リリアだろう? どちらも私の愛する人だ」
恥ずかしげもなくそんなことをしれっと言うルーカス様。こだわっていた自分がバカらしくなる。
「でも、確かに今の君はリリアだ。すまなかった。リリアーー」
再び甘い声でルーカス様の顔が、近付く。
思わずギュッと目をつぶってしまう。
「……?」
急に黙ってしまったルーカス様に、恐る恐る目を開ける。
「ルーカス様?」
ルーカス様は口を押さえて、顔を赤くしていた。
「子供には手を出さないとアレクと約束をしていたな。くそっ」
「ルーカス様、言葉遣い……」
そんなルーカス様を見て、思わず笑ってしまう。
「ルーカス」
「え?」
「ルーカス、だ。リリア」
再び真っ直ぐに私を見つめる青い瞳に、胸が跳ねる。
「……ルーカス」
「さっきまでの勢いはどうした」
赤くなりながらも彼の名前を呼ぶと、彼は顔を崩して笑った。
そして、私に再び近づくと、額に唇を落とした。
「?!?!」
驚く私に、ルーカスは意地悪な顔で微笑んだ。
「消毒だ。ユーグにやられっぱなしでは癪だからな」
「何ですか、それ」
私は額に手を当てて、顔を真っ赤にしながら、意地悪なルーカスに言った。
彼はしばらく嬉しそうにクスクスと笑っていたけど、不意にこちらを見て真剣な顔をした。
「リリア、本当に私で良いのか?君は、まだ若い…」
「もう! ルーカスじゃないと私は嫌だよ?!」
まだ躊躇うルーカスに、私は頬を膨らませて言った。
「そうか……。なら、もう離してやることは出来ない」
そう言うと、ルーカスは私をお姫様抱っこした。
「全てが片付いたら、正式な婚約をアレクに申し出るよ」
ルーカス様はこの国の第一王子。時期王に最も近い人。だから、アレクの許可なんて命令一つで何とでもなるのに、ちゃんとしようとしてくれていることが嬉しい。
「今度こそ私と一緒に歩んでくれるか?」
「もちろんです!」
青い透き通る目を細めて、穏やかに笑うルーカス。
私はそんな彼の大好な笑顔に向かって、力いっぱい返事をした。
【第二章・完】
ルーカス様は何度も『リヴィア』の名前を呼んでいた。私は彼の腕の中で、何度も返事をした。
しばらく私を抱きしめていたルーカス様は、身体を引き離し、私の顔を見つめると、言った。
「その金色の瞳……。やっぱり、リヴィア……」
綺麗な青い瞳は涙に濡れていて、熱を帯びて私を捕らえる。
愛しげに、甘い声で囁くルーカス様に私は恥ずかしくなってしまった。
「ルーカス様、態度急変すぎません?」
「もうルーカスとは呼んでくれないのか?」
私の言葉はスルーで、増々甘く囁くルーカス様。
もおおお!
口をパクパクさせていると、急に肩の上にいたトロワが光りだした。
「何?!」
眩い光を放つトロワは、宙にフワリと浮くと、その身体を変化させた。
猫だった姿は、『リヴィア』の従属だった頃のライオンの姿へと変えた。
「トロワ……?」
光が収まり、私の肩にいた頃のトロワとは身体の大きさが違いすぎる。目線が上になり、戸惑いを隠せずにいると、ルーカス様も驚いていた。
「これは……リヴィアの……どういうことだ?!」
トロワはゆっくりと首を私の前に垂れると、嬉しそうに言った。
「ルーカスが『リヴィア』のことを信じた時が、俺が元の姿に戻る鍵だったんだ」
「ええ……そうだったの?」
だからトロワは、ルーカス様に『リヴィア』だって言っちまえって何度も言っていたのね。
「何で教えてくれなかったの?」
「女神様と言わない約束だったのもあるけど、俺は……リリアの気持ちを優先させたかったから」
「トロワ……!」
自分のことよりも、私のことを想ってくれていたトロワに感動して、私は大きな彼の身体を抱きしめた。
「トロワ、何だって?」
トロワの言葉がわからないルーカス様は、ちょっといじけて後ろから声をかけてきた。
「あっ、ごめんなさい。ルーカス様に生まれ変わりのことを信じてもらえたのがきっかけで、元に戻ったみたい」
「本当にトロワ……リヴィアなんだな……」
私の言葉に、ルーカス様は目を閉じて噛み締めていた。
「ルーカス様?」
私は『リヴィア』の生まれ変わりだけど、今はリリアだ。ルーカス様の中にちゃんとリリアはいるのだろうか?私はそんな心配でルーカス様を見上げた。
「ルーカスと呼んで欲しい」
急に『男の人』の顔になったルーカス様は、ジリジリと私に迫る。
私は思わず後ずさりをして、トロワの身体にドン、とぶつかってしまった。
「リヴィア……」
ルーカス様はトロワの身体に手を置き、私をすっかり捕らえてしまった。
「俺で壁ドンするなー」
トロワの声はもちろんルーカス様には届かず。
「リヴィア?」
ルーカス様の顔が、至近距離まで近付いてくる。
心臓が破裂しそうなのと同時に、切なさがこみ上げた。
「ル、ルーカス様!! 私はリリアです! やっぱりリヴィアとしてしか見てくれないんですか?」
ルーカス様から逃げようと顔を背けながらも、そんなことを私は言ってしまった。
でも、ルーカス様は私を逃してはくれなくて。
「君は、リヴィアであり、リリアだろう? どちらも私の愛する人だ」
恥ずかしげもなくそんなことをしれっと言うルーカス様。こだわっていた自分がバカらしくなる。
「でも、確かに今の君はリリアだ。すまなかった。リリアーー」
再び甘い声でルーカス様の顔が、近付く。
思わずギュッと目をつぶってしまう。
「……?」
急に黙ってしまったルーカス様に、恐る恐る目を開ける。
「ルーカス様?」
ルーカス様は口を押さえて、顔を赤くしていた。
「子供には手を出さないとアレクと約束をしていたな。くそっ」
「ルーカス様、言葉遣い……」
そんなルーカス様を見て、思わず笑ってしまう。
「ルーカス」
「え?」
「ルーカス、だ。リリア」
再び真っ直ぐに私を見つめる青い瞳に、胸が跳ねる。
「……ルーカス」
「さっきまでの勢いはどうした」
赤くなりながらも彼の名前を呼ぶと、彼は顔を崩して笑った。
そして、私に再び近づくと、額に唇を落とした。
「?!?!」
驚く私に、ルーカスは意地悪な顔で微笑んだ。
「消毒だ。ユーグにやられっぱなしでは癪だからな」
「何ですか、それ」
私は額に手を当てて、顔を真っ赤にしながら、意地悪なルーカスに言った。
彼はしばらく嬉しそうにクスクスと笑っていたけど、不意にこちらを見て真剣な顔をした。
「リリア、本当に私で良いのか?君は、まだ若い…」
「もう! ルーカスじゃないと私は嫌だよ?!」
まだ躊躇うルーカスに、私は頬を膨らませて言った。
「そうか……。なら、もう離してやることは出来ない」
そう言うと、ルーカスは私をお姫様抱っこした。
「全てが片付いたら、正式な婚約をアレクに申し出るよ」
ルーカス様はこの国の第一王子。時期王に最も近い人。だから、アレクの許可なんて命令一つで何とでもなるのに、ちゃんとしようとしてくれていることが嬉しい。
「今度こそ私と一緒に歩んでくれるか?」
「もちろんです!」
青い透き通る目を細めて、穏やかに笑うルーカス。
私はそんな彼の大好な笑顔に向かって、力いっぱい返事をした。
【第二章・完】