生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜
38.秘密が終わるとき
「お披露目パーティーですか?」
「ああ。父上の体調もリリアのおかげで落ち着いて来ているし、結界修復も一段落しただろう」
いつもの研究室で、ルーカスがお披露目パーティーの話を持ってきて、私はそれを聞いていた。
……それよりも。
「ルーカス? 何で私はあなたの膝の上にいるのかしら?」
そう。私は今、ルーカスの膝の上に乗せられ、後ろから抱きしめられる形になっている。
耳元で聴こえるルーカスの声が、くすぐったい。
「この体勢が一番リリアを近くに感じられる」
またそんなことを言う。
「だからって……これじゃ、子供っぽいじゃない」
妹を膝に抱えるお兄さんみたい。
私はそんな感覚が恥ずかしくて、赤くなりながらもルーカスに抗議した。
するとルーカスはくすりと笑い、お姫様抱っこをする形で、私を横に抱きかかえ直した。
「すまない。私の気持ちばかりがはやっていたな」
私を大切に扱うルーカスに、くすぐったくなりつつも、それが嬉しい。
「これだと、顔、近いね」
恥ずかしくてそんなことを言えば、ルーカスは増々笑みを強めて顔を近づけた。
「本当はキスしたい」
「なっ?!」
ルーカスの素直な言葉に、私の顔は真っ赤だ。
「リヴィアの時は、結婚式まで取っておくって言ってたじゃない」
そう。ルーカスは真面目にも、そう言っていたのだ。その結婚式は永遠に来なくなったのだけど。
「君が成人するまで待てる自身が無い」
きっぱりと言い切るルーカスに、私はますます赤くなる。こんなにストレートに愛を伝えてくれるのにまだ慣れないけど、嫌ではない自分がいる。
「私は……ルーカスなら良いよ?」
意を決してルーカスをちらりと見上げると、彼は顔に手をやり、うなだれてしまった。
「ルーカス?」
何か変なことを言ってしまっただろうか。
そんな心配を胸に、彼を覗き込めば、いつも余裕な彼は、手を顔からどけると、真っ赤になっていた。
「リリア、それはずるい……」
「えっ?」
「君は、私の理性を試しているのか?」
「えっ! そんなつもりは……」
真っ赤になりながらもルーカス様は苦笑しながら言ったので、慌てて否定する。
「私はルーカスなら良いって……それだけで……」
私がそう言い切る前に、私はグイ、とルーカスに引き寄せられた。
「アレクには秘密だからな」
そう言ったルーカスの顔はいつの間にか、すぐそこで。彼の瞳が力強く私を捕らえていた。
「うん……」
そう言うと、静かに私は目を閉じた。
ゆっくりと、ルーカスの吐息が近づくのを感じながら、私の心臓は早鐘を打つ。
そっと私の唇に、彼の唇が重なる。
「ふあ?!」
幸せを感じる間もなく、ルーカスは貪るように深く口づけをしてきた。
お、大人のキスーーーー
初めてのキスでいっぱいいっぱいなのに、大人のキスなんて……
私はルーカスの袖をギュウと握りしめ、彼に身を委ねることしか出来なかった。
彼もされるがままの私を堪能するように、長く、長く、キスをした。
「な、何をしているんだ………?!」
突然、静寂を破ったのはアレクだった。
ア、アレクーー?
突然のアレクの訪問に驚きで固まる私とは違い、ルーカスは不機嫌そうに言った。
「ノックぐらいしたらどうなんだ? アレク」
「ノックはしたさ! お前……まだ子供のリリアに何てこと……」
ピリリとした空気が研究室に走る。
ま、まずい。アレクにはまだお互いの気持ちもこれからのことも話していないのに、いきなりこんな所を見られるなんて……!
私が赤くなったり青くなったりしていると、ルーカスはふう、と大きく息を吐いた。
「ちょうど良い。アレク、話しておきたいことがある」
「俺には無い!!」
アレクはそう叫ぶと、ツカツカと私たちの方に来ると、私をルーカスの膝の上から奪い取った。
「リリア、行くぞ」
「お、お父様?!」
いつもリリアに甘い顔のアレクは、見たことのない厳しい顔をしていた。
「待て、アレク」
「命令違反だろうが何だろうが、今は聞けない!!」
アレクはルーカスにそう言い捨てると、私を抱きかかえたまま、研究室を出てしまった。
研究室を出る瞬間、ルーカスの方を見れば、彼は苦笑してこちらを見ていた。そして私に、心配するな、と声には出さずに、口元を動かしていた。
アレクに何の説明もせずに、自分たちの気持ちだけを優先していたのは私も一緒だ。
だからこそ、真剣に説明してわかってもらいたい。
「お父様……」
そんな想いを胸にアレクに話しかけるも、彼は厳しい顔をしたまま、一言も発しなかった。
そして私はしばらく自宅の屋敷に閉じ込められることになった。
「ああ。父上の体調もリリアのおかげで落ち着いて来ているし、結界修復も一段落しただろう」
いつもの研究室で、ルーカスがお披露目パーティーの話を持ってきて、私はそれを聞いていた。
……それよりも。
「ルーカス? 何で私はあなたの膝の上にいるのかしら?」
そう。私は今、ルーカスの膝の上に乗せられ、後ろから抱きしめられる形になっている。
耳元で聴こえるルーカスの声が、くすぐったい。
「この体勢が一番リリアを近くに感じられる」
またそんなことを言う。
「だからって……これじゃ、子供っぽいじゃない」
妹を膝に抱えるお兄さんみたい。
私はそんな感覚が恥ずかしくて、赤くなりながらもルーカスに抗議した。
するとルーカスはくすりと笑い、お姫様抱っこをする形で、私を横に抱きかかえ直した。
「すまない。私の気持ちばかりがはやっていたな」
私を大切に扱うルーカスに、くすぐったくなりつつも、それが嬉しい。
「これだと、顔、近いね」
恥ずかしくてそんなことを言えば、ルーカスは増々笑みを強めて顔を近づけた。
「本当はキスしたい」
「なっ?!」
ルーカスの素直な言葉に、私の顔は真っ赤だ。
「リヴィアの時は、結婚式まで取っておくって言ってたじゃない」
そう。ルーカスは真面目にも、そう言っていたのだ。その結婚式は永遠に来なくなったのだけど。
「君が成人するまで待てる自身が無い」
きっぱりと言い切るルーカスに、私はますます赤くなる。こんなにストレートに愛を伝えてくれるのにまだ慣れないけど、嫌ではない自分がいる。
「私は……ルーカスなら良いよ?」
意を決してルーカスをちらりと見上げると、彼は顔に手をやり、うなだれてしまった。
「ルーカス?」
何か変なことを言ってしまっただろうか。
そんな心配を胸に、彼を覗き込めば、いつも余裕な彼は、手を顔からどけると、真っ赤になっていた。
「リリア、それはずるい……」
「えっ?」
「君は、私の理性を試しているのか?」
「えっ! そんなつもりは……」
真っ赤になりながらもルーカス様は苦笑しながら言ったので、慌てて否定する。
「私はルーカスなら良いって……それだけで……」
私がそう言い切る前に、私はグイ、とルーカスに引き寄せられた。
「アレクには秘密だからな」
そう言ったルーカスの顔はいつの間にか、すぐそこで。彼の瞳が力強く私を捕らえていた。
「うん……」
そう言うと、静かに私は目を閉じた。
ゆっくりと、ルーカスの吐息が近づくのを感じながら、私の心臓は早鐘を打つ。
そっと私の唇に、彼の唇が重なる。
「ふあ?!」
幸せを感じる間もなく、ルーカスは貪るように深く口づけをしてきた。
お、大人のキスーーーー
初めてのキスでいっぱいいっぱいなのに、大人のキスなんて……
私はルーカスの袖をギュウと握りしめ、彼に身を委ねることしか出来なかった。
彼もされるがままの私を堪能するように、長く、長く、キスをした。
「な、何をしているんだ………?!」
突然、静寂を破ったのはアレクだった。
ア、アレクーー?
突然のアレクの訪問に驚きで固まる私とは違い、ルーカスは不機嫌そうに言った。
「ノックぐらいしたらどうなんだ? アレク」
「ノックはしたさ! お前……まだ子供のリリアに何てこと……」
ピリリとした空気が研究室に走る。
ま、まずい。アレクにはまだお互いの気持ちもこれからのことも話していないのに、いきなりこんな所を見られるなんて……!
私が赤くなったり青くなったりしていると、ルーカスはふう、と大きく息を吐いた。
「ちょうど良い。アレク、話しておきたいことがある」
「俺には無い!!」
アレクはそう叫ぶと、ツカツカと私たちの方に来ると、私をルーカスの膝の上から奪い取った。
「リリア、行くぞ」
「お、お父様?!」
いつもリリアに甘い顔のアレクは、見たことのない厳しい顔をしていた。
「待て、アレク」
「命令違反だろうが何だろうが、今は聞けない!!」
アレクはルーカスにそう言い捨てると、私を抱きかかえたまま、研究室を出てしまった。
研究室を出る瞬間、ルーカスの方を見れば、彼は苦笑してこちらを見ていた。そして私に、心配するな、と声には出さずに、口元を動かしていた。
アレクに何の説明もせずに、自分たちの気持ちだけを優先していたのは私も一緒だ。
だからこそ、真剣に説明してわかってもらいたい。
「お父様……」
そんな想いを胸にアレクに話しかけるも、彼は厳しい顔をしたまま、一言も発しなかった。
そして私はしばらく自宅の屋敷に閉じ込められることになった。