生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜
43.お披露目式へ
「リリアが成人するまでは二度と手を出すなよ!」
次の日、私はやっとアレクの許可が出て、研究室にやって来た。
呼び出されたルーカスは、アレクに開口一番言われた言葉にムスッとしていた。
「わかりましたよ、お義父さん」
「まだお義父さんって言うなーー!」
険悪だった二人は、いつもの調子に戻っていて、私はホッとした。
「リリアは私の名にかけて必ず幸せにする」
「当たり前だ……!」
ルーカスがアレクにしっかりと向き合って宣言をしてくれて、私は胸がじわりと温かくなるのを感じた。そして、文句を言いながらも、アレクは認めてくれている。私は幸せ者だ。
「さて、ここからが本題だ」
「さっきのも本題だろ……ま、いいや。お披露目式のことだな?」
話題を変えたルーカスにアレクは突っ込むも、話を続けた。
「お披露目式? 何か問題があるんですか?」
私の問に、二人は顔を見合わせ、難しい顔をした。
「リリアのポーションで父上が回復に向かっていただろう」
「でも、また体調を崩されたりの繰り返しでしたよね?」
そう。国王陛下は公の場に出られることも多くなったが、体調は安定せず、ルーカスが変わりを担うことは多い。
「最近は体調を崩すことも減った。君のポーションは本当に凄いな」
ルーカスに褒められて、何だかくすぐったい。
でも、陛下がお元気になられたなら良い傾向なのに、何が問題なのかしら?
「どうやら、第二王子派の手引で父の食事に毒が盛られていたようだ」
「え?!」
「捕らえられたのは末端で、首謀者への証拠に繋がる物が出ていないんだ」
「なんてこと……」
ルーカスとアレクの話に恐ろしくなった。まさか、本当に第二王子派の人たちがそんなことをしていたなんて…。
「ジェイル様は知っているの……?」
私は不安になってルーカスとアレクに聞いた。
「ジェイルは知らないだろう。あいつはお飾りとして祭り上げられているだけだ」
「ジェイル様が王になれば、良いように操って自分たちの都合の良い政治が出来ると考えている連中がいるからな」
「そう……」
あんなにルーカスの役に立ちたいと笑顔で話していたジェイル様が……。
「リリア、心配するな」
ルーカスは私の不安な気持ちに気付いて、優しく頭に手を置いてくれた。
「ジェイルも馬鹿ではない。こちら側に戻してみせるさ」
「ルーカス……」
ルーカスはジェイル様のことを見放してはいない。そのことに嬉しくなった。だって、本当に仲の良い二人だったから。
「はい! リリアに触らない!」
二人で見つめ合っていると、アレクが私たちの間に割って入ってきた。
「頭を撫でるくらい良いだろう!」
「お前には前科があるからダメだ!」
真面目な話をしていたのに、また二人でじゃれ合ってしまった。
私はギャーギャーと言い合う二人を笑いながら見ていた。
ルーカスとジェイル様もこんなふうにまた戻れると良いな、と思った。
◇◇◇
「リリア、綺麗だよ……!」
お披露目式の当日。部屋を出たとたん、ドレスアップした私をアレクが大絶賛してくれた。
ルーカスの瞳と同じ綺麗なアクアブルーのドレスには、たっぷりとレースがあしらってあり、裾には『リリア印』の水仙が刺繍されている。
近衛隊の隊服に身を包んだアレクは、目を細めて言った。
「ロザリーにも見せたかったなあ……」
「きっと天国で見てくれている気がします」
アレクの言葉にジーンとしつつも、ロザリーも見守ってくれている気がして。
「リリア……!」
「隊長、リリア様のドレスが汚れますよ」
私の言葉に涙を滲ませ、抱きしめようとしたアレクに、ユーグからのストップがかかる。
「あ、そうだな。すまない、リリア」
涙を拭いながら謝るアレクに、にっこり笑って頷いた。
お披露目式でこんな調子なら、結婚式の時なんてどうなるのかしら……。
まだまだ先の話だけど、私はその未来を思い描いて、クスリと笑った。
「リリア様?」
首を傾げてこちらを見ていたユーグに、私の意識はこちらに戻ってくる。
またこんな所を見られてしまった!!
「き、今日はよろしくね! ユーグ」
恥ずかしくて慌てて取り繕うと、ユーグはニカッと笑い、「任せてください!」と言った。
今日一日、アレクは会場警護の責任者として指揮を取るため、一緒にはいられない。
ルーカスにはイスランが付き、私にはユーグが付いてくれることになっていた。
「ほぼルーカス様と一緒にいるから、イスランとユーグが二人付くのよね? 何だか豪華だね」
「それくらいやらないと!!」
私が何気なく言った言葉に、アレクは力いっぱい、私に言い聞かせるように言った。
「そうですよ、リリア様。陛下を追いやれなかった第二王子派のやつら、焦って何をしだすかわかりませんからね」
ユーグの言葉に、少しだけ身体が震えた。魔物の相手はよくしてきたけど、人間からの敵意なんて相手にしたことがない。
「俺もいるから心配するな」
そんな私を察して、トロワが足元にやってきた。うん、トロワもいるし、私は沢山の人に守ってもらっている。きっと大丈夫!
「トロワ、ありがとう」
「任せとけ!」
「あ、トロワ! リリアのドレスに毛が付くから離れなさい!」
トロワと話していると、アレクがすっ飛んできた。
「俺はリリアの側にいるぞーー」
「トロワはこっちな」
トロワの抵抗虚しく、アレクの手によって、彼はユーグに引き渡されてしまった。
「一緒にリリア様を守ろうな」
人懐っこい笑顔をトロワにも向けてユーグ様が言うと、トロワは面白くなさそうに答えた。
「ちっ、仕方ねえな」
次の日、私はやっとアレクの許可が出て、研究室にやって来た。
呼び出されたルーカスは、アレクに開口一番言われた言葉にムスッとしていた。
「わかりましたよ、お義父さん」
「まだお義父さんって言うなーー!」
険悪だった二人は、いつもの調子に戻っていて、私はホッとした。
「リリアは私の名にかけて必ず幸せにする」
「当たり前だ……!」
ルーカスがアレクにしっかりと向き合って宣言をしてくれて、私は胸がじわりと温かくなるのを感じた。そして、文句を言いながらも、アレクは認めてくれている。私は幸せ者だ。
「さて、ここからが本題だ」
「さっきのも本題だろ……ま、いいや。お披露目式のことだな?」
話題を変えたルーカスにアレクは突っ込むも、話を続けた。
「お披露目式? 何か問題があるんですか?」
私の問に、二人は顔を見合わせ、難しい顔をした。
「リリアのポーションで父上が回復に向かっていただろう」
「でも、また体調を崩されたりの繰り返しでしたよね?」
そう。国王陛下は公の場に出られることも多くなったが、体調は安定せず、ルーカスが変わりを担うことは多い。
「最近は体調を崩すことも減った。君のポーションは本当に凄いな」
ルーカスに褒められて、何だかくすぐったい。
でも、陛下がお元気になられたなら良い傾向なのに、何が問題なのかしら?
「どうやら、第二王子派の手引で父の食事に毒が盛られていたようだ」
「え?!」
「捕らえられたのは末端で、首謀者への証拠に繋がる物が出ていないんだ」
「なんてこと……」
ルーカスとアレクの話に恐ろしくなった。まさか、本当に第二王子派の人たちがそんなことをしていたなんて…。
「ジェイル様は知っているの……?」
私は不安になってルーカスとアレクに聞いた。
「ジェイルは知らないだろう。あいつはお飾りとして祭り上げられているだけだ」
「ジェイル様が王になれば、良いように操って自分たちの都合の良い政治が出来ると考えている連中がいるからな」
「そう……」
あんなにルーカスの役に立ちたいと笑顔で話していたジェイル様が……。
「リリア、心配するな」
ルーカスは私の不安な気持ちに気付いて、優しく頭に手を置いてくれた。
「ジェイルも馬鹿ではない。こちら側に戻してみせるさ」
「ルーカス……」
ルーカスはジェイル様のことを見放してはいない。そのことに嬉しくなった。だって、本当に仲の良い二人だったから。
「はい! リリアに触らない!」
二人で見つめ合っていると、アレクが私たちの間に割って入ってきた。
「頭を撫でるくらい良いだろう!」
「お前には前科があるからダメだ!」
真面目な話をしていたのに、また二人でじゃれ合ってしまった。
私はギャーギャーと言い合う二人を笑いながら見ていた。
ルーカスとジェイル様もこんなふうにまた戻れると良いな、と思った。
◇◇◇
「リリア、綺麗だよ……!」
お披露目式の当日。部屋を出たとたん、ドレスアップした私をアレクが大絶賛してくれた。
ルーカスの瞳と同じ綺麗なアクアブルーのドレスには、たっぷりとレースがあしらってあり、裾には『リリア印』の水仙が刺繍されている。
近衛隊の隊服に身を包んだアレクは、目を細めて言った。
「ロザリーにも見せたかったなあ……」
「きっと天国で見てくれている気がします」
アレクの言葉にジーンとしつつも、ロザリーも見守ってくれている気がして。
「リリア……!」
「隊長、リリア様のドレスが汚れますよ」
私の言葉に涙を滲ませ、抱きしめようとしたアレクに、ユーグからのストップがかかる。
「あ、そうだな。すまない、リリア」
涙を拭いながら謝るアレクに、にっこり笑って頷いた。
お披露目式でこんな調子なら、結婚式の時なんてどうなるのかしら……。
まだまだ先の話だけど、私はその未来を思い描いて、クスリと笑った。
「リリア様?」
首を傾げてこちらを見ていたユーグに、私の意識はこちらに戻ってくる。
またこんな所を見られてしまった!!
「き、今日はよろしくね! ユーグ」
恥ずかしくて慌てて取り繕うと、ユーグはニカッと笑い、「任せてください!」と言った。
今日一日、アレクは会場警護の責任者として指揮を取るため、一緒にはいられない。
ルーカスにはイスランが付き、私にはユーグが付いてくれることになっていた。
「ほぼルーカス様と一緒にいるから、イスランとユーグが二人付くのよね? 何だか豪華だね」
「それくらいやらないと!!」
私が何気なく言った言葉に、アレクは力いっぱい、私に言い聞かせるように言った。
「そうですよ、リリア様。陛下を追いやれなかった第二王子派のやつら、焦って何をしだすかわかりませんからね」
ユーグの言葉に、少しだけ身体が震えた。魔物の相手はよくしてきたけど、人間からの敵意なんて相手にしたことがない。
「俺もいるから心配するな」
そんな私を察して、トロワが足元にやってきた。うん、トロワもいるし、私は沢山の人に守ってもらっている。きっと大丈夫!
「トロワ、ありがとう」
「任せとけ!」
「あ、トロワ! リリアのドレスに毛が付くから離れなさい!」
トロワと話していると、アレクがすっ飛んできた。
「俺はリリアの側にいるぞーー」
「トロワはこっちな」
トロワの抵抗虚しく、アレクの手によって、彼はユーグに引き渡されてしまった。
「一緒にリリア様を守ろうな」
人懐っこい笑顔をトロワにも向けてユーグ様が言うと、トロワは面白くなさそうに答えた。
「ちっ、仕方ねえな」