生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜
46.お披露目3
「そんな、一方的な!!」
ソフィー様はジェイル様に向かってキンキン声で叫んでいた。
「ソフィー、ここは兄上とリリア様のおめでたい席だ。その話は後に……」
ジェイル様は、ソフィー様を宥めるように手を差し伸べると、それは彼女によって拒まれた。
「私はっ……! 王都をちゃんと守っておりますわ!」
ソフィー様の訴えに、ジェイル様は増々冷えた表情でため息をついた。
「君が結界を施したのは一度だけだろう? しかも強固なリヴィア様の結界の上に重ねがけしただけだ。リリア様は各地を回って壊れた結界を修復していらしたというのに……」
ジェイル様の言葉に、ソフィー様がこちらをキッと睨む。
あ、これ、こっちに火種が飛んでくるパターン?
笑顔が引きつらないように、にっこりと返すと、ルーカスとユーグ、イスランが私を守るようにして前に立ちはだかってくれた。
「な、何よ!! 皆、そんな子供を祭り上げて恥ずかしくないの?!」
「無礼ですよ、この方は未来の皇太后妃です」
ソフィー様の言葉に、イスランがピシャリと言うと、彼女はグッと唇を噛んだ。
「私だって聖女で、ジェイル様の婚約者だわ。ジェイル様が国王になれば……」
「私にその気は無い。だから婚約も解消する」
ソフィー様の言葉にジェイル様が容赦なく畳み掛ける。
う、うーん。ジェイル様の気持ちはわかったけど、ちゃんと話し合った方が良かったのでは……?確かに一方的な気がする。ソフィー様だって、ジェイル様を好きだったかもしれないんだし。
しかし、それはいらぬ心配だった。
「約束が違うわ!! ジェイル様と婚約すれば、贅沢も思うまま、好きにして良いとお父様が……!」
ソフィー様はジェイル様が好きだった訳ではなく、その立場が欲しかったようだった。
「もう充分、良い思いをしただろう」
「そういう問題ではありませんわ!」
ジェイル様の言葉に、ソフィー様が増々ヒートアップする。
うーん、これ、どう決着つけるの?
「この婚約は、コンツァ伯爵が進めたということで良いかな?」
二人のやり取りを見て、困惑していた私とは別に、不敵な笑みのルーカスが割って入った。
「そ、そうですわ……! 聖女の力に目覚めた私を宰相から推薦してくださるようにお父様が計らってくださったのです! 私の後ろにはアンダーソン侯爵様が付いているのですよ!」
「ほう。なるほど、アンダーソン侯爵ねえ」
ルーカスの冷ややかな笑みに、ソフィー様は青ざめて、口をつぐんだ。
「さて、その宰相からは、ソフィー嬢が作ったというポーションが父上に献上されていたわけだが……」
「は、はい……。陛下の具合が良くなるようにと宰相様から依頼されて作りましたわ!」
「そのポーションが遅効性の毒だった訳だが」
「!」
ルーカスの言葉に、ソフィー様は驚きの表情を見せると、身体を震わせた。
「まさか…、そんな……」
ソフィー様は困惑しているようだった。
ルーカスの言葉には私も驚いていた。まさか聖女の立場にある人が、ポーションと偽って毒を盛るなんて。
許せないけど、ソフィー様の様子を見ていると、彼女がやったとは思えない。
「国王陛下の暗殺未遂で貴方は処刑になる」
「!」
ルーカスの容赦ない言葉に、ソフィー様の顔が増々青くなる。
「ま、待ってください……! 私、本当はポーションなんて作っていません!」
「先程は作ったと言っていたではないか。嘘をつくのか?」
「ほ、本当です!! 私、ポーションなんて作れませんもの……!」
ソフィー様の告白に、辺りがシン、とした。
歓談をしていたはずの貴族たちは静まり返り、いつの間にかこちらを見ていた。
アレクが手配した近衛隊たちが気付けば私たちを取り囲んでいた。
「兄上、それは私も証言します。彼女の力ではポーションを作れない。側にいたのだからわかります」
「そうか。では何故、そういうことになっているのかな?」
ルーカスがソフィー様に視線を落とすと、彼女は声を震わせながら言った。
「さ、宰相様が……! 私の功績になるから全てを任せておけと……!」
「国王陛下殺しを君に押し付けるためだな」
「そ……んな……」
ルーカスの言葉に、ソフィー様はその場に崩れ落ちてしまった。
「そんな……宰相が影でそんな恐ろしいことをしていたなんて…」
「ジェイル、お前を次期国王にと言い出したのも宰相だな?」
「はい……」
ジェイル様が信じられない、といった困惑した顔でルーカスに答える。
二人はアンダーソン侯爵に利用されただけだ。
「ソフィー嬢を連れて行け!」
ルーカス様の命令で、近衛隊が動き出す。
その場に座り込んでいたソフィー様は、呆然としていて、抵抗もせず、なされるがまま連れて行かれた。
「兄上……私にも処罰を……」
顔を青くしたジェイル様が、ルーカスにおずおずと申し出た。
「今回関わった貴族たちは一斉摘発になるだろう。ジェイル、お前にも手伝ってもらわないと回らない」
「兄上……しかし……」
「よろしいですよね、 父上」
ルーカスは離れた陛下に向かって言い放った。
この事態を静観していた陛下は、ニヤリと笑って言った。
「このことはルーカスに一任してある。皆、ルーカスに従うように」
その言葉を聞いて、その場にいた全員が一斉にルーカスに向かって、跪いた。
それから、ルーカスの指示で、アンダーソン侯爵、コンツァ伯爵ら、国王陛下暗殺に関わっていた全員が捕らえられた。
第二王子派と言われる中には、純粋にジェイル様を慕っている人もいて、悪い人たちだけでは無かった。
そういう人たちは、ジェイル様の意向を尊重して、ルーカスを支援してくれることになった。
クローダー王国は、やっと派閥という垣根が無くなったのだ。
ソフィー様はジェイル様に向かってキンキン声で叫んでいた。
「ソフィー、ここは兄上とリリア様のおめでたい席だ。その話は後に……」
ジェイル様は、ソフィー様を宥めるように手を差し伸べると、それは彼女によって拒まれた。
「私はっ……! 王都をちゃんと守っておりますわ!」
ソフィー様の訴えに、ジェイル様は増々冷えた表情でため息をついた。
「君が結界を施したのは一度だけだろう? しかも強固なリヴィア様の結界の上に重ねがけしただけだ。リリア様は各地を回って壊れた結界を修復していらしたというのに……」
ジェイル様の言葉に、ソフィー様がこちらをキッと睨む。
あ、これ、こっちに火種が飛んでくるパターン?
笑顔が引きつらないように、にっこりと返すと、ルーカスとユーグ、イスランが私を守るようにして前に立ちはだかってくれた。
「な、何よ!! 皆、そんな子供を祭り上げて恥ずかしくないの?!」
「無礼ですよ、この方は未来の皇太后妃です」
ソフィー様の言葉に、イスランがピシャリと言うと、彼女はグッと唇を噛んだ。
「私だって聖女で、ジェイル様の婚約者だわ。ジェイル様が国王になれば……」
「私にその気は無い。だから婚約も解消する」
ソフィー様の言葉にジェイル様が容赦なく畳み掛ける。
う、うーん。ジェイル様の気持ちはわかったけど、ちゃんと話し合った方が良かったのでは……?確かに一方的な気がする。ソフィー様だって、ジェイル様を好きだったかもしれないんだし。
しかし、それはいらぬ心配だった。
「約束が違うわ!! ジェイル様と婚約すれば、贅沢も思うまま、好きにして良いとお父様が……!」
ソフィー様はジェイル様が好きだった訳ではなく、その立場が欲しかったようだった。
「もう充分、良い思いをしただろう」
「そういう問題ではありませんわ!」
ジェイル様の言葉に、ソフィー様が増々ヒートアップする。
うーん、これ、どう決着つけるの?
「この婚約は、コンツァ伯爵が進めたということで良いかな?」
二人のやり取りを見て、困惑していた私とは別に、不敵な笑みのルーカスが割って入った。
「そ、そうですわ……! 聖女の力に目覚めた私を宰相から推薦してくださるようにお父様が計らってくださったのです! 私の後ろにはアンダーソン侯爵様が付いているのですよ!」
「ほう。なるほど、アンダーソン侯爵ねえ」
ルーカスの冷ややかな笑みに、ソフィー様は青ざめて、口をつぐんだ。
「さて、その宰相からは、ソフィー嬢が作ったというポーションが父上に献上されていたわけだが……」
「は、はい……。陛下の具合が良くなるようにと宰相様から依頼されて作りましたわ!」
「そのポーションが遅効性の毒だった訳だが」
「!」
ルーカスの言葉に、ソフィー様は驚きの表情を見せると、身体を震わせた。
「まさか…、そんな……」
ソフィー様は困惑しているようだった。
ルーカスの言葉には私も驚いていた。まさか聖女の立場にある人が、ポーションと偽って毒を盛るなんて。
許せないけど、ソフィー様の様子を見ていると、彼女がやったとは思えない。
「国王陛下の暗殺未遂で貴方は処刑になる」
「!」
ルーカスの容赦ない言葉に、ソフィー様の顔が増々青くなる。
「ま、待ってください……! 私、本当はポーションなんて作っていません!」
「先程は作ったと言っていたではないか。嘘をつくのか?」
「ほ、本当です!! 私、ポーションなんて作れませんもの……!」
ソフィー様の告白に、辺りがシン、とした。
歓談をしていたはずの貴族たちは静まり返り、いつの間にかこちらを見ていた。
アレクが手配した近衛隊たちが気付けば私たちを取り囲んでいた。
「兄上、それは私も証言します。彼女の力ではポーションを作れない。側にいたのだからわかります」
「そうか。では何故、そういうことになっているのかな?」
ルーカスがソフィー様に視線を落とすと、彼女は声を震わせながら言った。
「さ、宰相様が……! 私の功績になるから全てを任せておけと……!」
「国王陛下殺しを君に押し付けるためだな」
「そ……んな……」
ルーカスの言葉に、ソフィー様はその場に崩れ落ちてしまった。
「そんな……宰相が影でそんな恐ろしいことをしていたなんて…」
「ジェイル、お前を次期国王にと言い出したのも宰相だな?」
「はい……」
ジェイル様が信じられない、といった困惑した顔でルーカスに答える。
二人はアンダーソン侯爵に利用されただけだ。
「ソフィー嬢を連れて行け!」
ルーカス様の命令で、近衛隊が動き出す。
その場に座り込んでいたソフィー様は、呆然としていて、抵抗もせず、なされるがまま連れて行かれた。
「兄上……私にも処罰を……」
顔を青くしたジェイル様が、ルーカスにおずおずと申し出た。
「今回関わった貴族たちは一斉摘発になるだろう。ジェイル、お前にも手伝ってもらわないと回らない」
「兄上……しかし……」
「よろしいですよね、 父上」
ルーカスは離れた陛下に向かって言い放った。
この事態を静観していた陛下は、ニヤリと笑って言った。
「このことはルーカスに一任してある。皆、ルーカスに従うように」
その言葉を聞いて、その場にいた全員が一斉にルーカスに向かって、跪いた。
それから、ルーカスの指示で、アンダーソン侯爵、コンツァ伯爵ら、国王陛下暗殺に関わっていた全員が捕らえられた。
第二王子派と言われる中には、純粋にジェイル様を慕っている人もいて、悪い人たちだけでは無かった。
そういう人たちは、ジェイル様の意向を尊重して、ルーカスを支援してくれることになった。
クローダー王国は、やっと派閥という垣根が無くなったのだ。