生まれ変わりの聖女は子供でも最強です!〜死にたがりの元婚約者を立ち直らせたらまた恋が始まりました〜
48.突然の崩壊
「じゃあ、明日にでも王都の結界を修復に行こう」
「でも、リヴィア様の結界がまだ強固なんですよね?修復する必要があるんですか?」
「馬鹿者! いつか綻びが起きてからでは遅いんだぞ」
アレク、ユーグ、イスランの三人も加わって、王都の結界修復について話し合っていた。
「リリア様は結界を見たんですよね?」
「半年前にね……」
ユーグの問にそう答えた私は、半年前のことを思い返す。
ルーカスに連れられて行った、『リヴィア』終焉の場所。
「あのときはリヴィアの結界がまだ強固だったけど、今のことは見てみないとわからない」
「ソフィー様の結界が上から重ねがけしてあったんだっけ?」
「ああそうだ」
あのときの状況をルーカスとアレクと確認する。
「でも魔物が出たという報告も無いし、今の所、リヴィア様の結界が保たれている証拠だろ?」
「王都の結界は持てる全てを注いだから一番強いけど……」
「もうあんな無茶はしないでくれよ、リリア」
「そうだぞ、リリア。もう私から離れるなよ」
今の結界の話をしていたのに、昔の話でルーカスとアレクに心配そうに詰め寄られてしまった。
「もうあんな無茶はしないよ~」
慌てて答えれば、二人は息ぴったりに満足そうに頷いた。
「あ、の〜」
私たち三人の後ろから、話を聞いていたユーグがおずおずと手を上げて言った。
イスランも唖然とした顔をしている。
どうしたんだろう?
「まるでリリア様がリヴィア様みたいな話し方をするんですね?」
しまった!
ユーグの言葉に、私とルーカス、アレクはお互いに顔を見合わせた。
つい二人の前では緩んで、昔みたいになってしまった。それは二人も同じだったみたいで。
ルーカスは大きなため息を付くと、アレクに言った。
「この二人なら良いんじゃないか?」
「そうだね……リリア、良いかい?」
ルーカスの視線を受けたアレクも、一息つくと、私に視線を送った。
「はい。二人なら、良いです」
その視線を受けて、私は頷いた。
この二人なら受け止めてくれると思うし、信用している。だから承諾をした。
私の了承を得たアレクは、二人に私が『リヴィア』だということを説明した。
◇◇◇
「そんなことってあるんですか?!」
一通り説明を聞いたユーグは、驚いて声を上げてた。
「いやー、でも、それなら色々納得出来ます!」
驚いていたものの、ユーグは笑ってすんなり受け入れてくれた。
「そりゃあ、俺なんて足元にも及ばないわけですよー」
「え?」
ユーグは何だか、ふてくされている。
「だって、ルーカス様とは運命だったわけじゃないですか。自分、ピエロも良い所ですよー」
「おい、私はリリアがリヴィアだからというだけで惹かれたわけではないぞ」
「はいはい、ご馳走様でーす」
ユーグの言葉に真剣に返すルーカスと、それを適当に返すユーグ。もうどこから突っ込んで良いかわからない。
そんな中、イスランだけは何も言わずに佇んでいた。
「イスラン、黙っていてごめんね?」
「いえ…。俺が貴方に忠誠を捧げるのは変わりませんから」
イスランは穏やかに笑って言った。何だかスッキリした顔をしている。
彼は薄々、そうなんじゃないかと思っていたのかもしれない。
でも何も言わずに、ただそこにいて、私を守ってくれていた。
「ありがとう」
私は彼の静かな優しさに感謝をした。
「……もったいないお言葉です」
イスランは、瞳を閉じて穏やかに微笑んだ。
その穏やかな空気が心地良かったけど、それは一瞬にして崩れた。
「大変です!!」
激しいノックと共に、部屋の外から慌てる男の人の声がした。
「どうした! 入れ」
ルーカスの合図と共に、近衛隊の一人が勢いよくドアを開けて入ってきた。
「失礼いたします! 只今、王都内に魔物が出現したとのこと!」
「何だと?!」
急な伝令にそこにいた皆が驚いたけど、流石のルーカスは、隊員から細かなことを聞き出すと、迅速に命令を飛ばした。
「アレク、近衛隊の指揮は任せた! 魔物を食い止めてくれ」
「了解した!」
アレクはルーカスの指示を聞くと、早足で部屋を出て行った。
「リリア、私と一緒に結界の様子を、」
「うん!」
私はルーカスの言葉を最後まで待たずに力いっぱい頷いた。
その私を見て、ルーカスは不敵に笑った。
「今度こそ私は君から離れないからな」
『リヴィア』の時は、ルーカスにも王都に雪崩れ込む魔物を食い止めてもらっていた。
あのときの判断に後悔は無いけど、一人で勝手に死んでいってしまったことを申し訳なく思っている。
「私も、ルーカスから離れないから!」
私の言葉に、ルーカスは一瞬目を丸くしたけど、すぐに笑顔になった。
「私たちもいますからね」
「そうですよ、二人で雰囲気作らないでください」
「俺だっているぞー!」
イスラン、ユーグ、トロワが矢継ぎ早に言うので、顔を見合わせた私とルーカスは、思わず笑ってしまった。
あの時とは違う。私は一人じゃない!
「でも、リヴィア様の結界がまだ強固なんですよね?修復する必要があるんですか?」
「馬鹿者! いつか綻びが起きてからでは遅いんだぞ」
アレク、ユーグ、イスランの三人も加わって、王都の結界修復について話し合っていた。
「リリア様は結界を見たんですよね?」
「半年前にね……」
ユーグの問にそう答えた私は、半年前のことを思い返す。
ルーカスに連れられて行った、『リヴィア』終焉の場所。
「あのときはリヴィアの結界がまだ強固だったけど、今のことは見てみないとわからない」
「ソフィー様の結界が上から重ねがけしてあったんだっけ?」
「ああそうだ」
あのときの状況をルーカスとアレクと確認する。
「でも魔物が出たという報告も無いし、今の所、リヴィア様の結界が保たれている証拠だろ?」
「王都の結界は持てる全てを注いだから一番強いけど……」
「もうあんな無茶はしないでくれよ、リリア」
「そうだぞ、リリア。もう私から離れるなよ」
今の結界の話をしていたのに、昔の話でルーカスとアレクに心配そうに詰め寄られてしまった。
「もうあんな無茶はしないよ~」
慌てて答えれば、二人は息ぴったりに満足そうに頷いた。
「あ、の〜」
私たち三人の後ろから、話を聞いていたユーグがおずおずと手を上げて言った。
イスランも唖然とした顔をしている。
どうしたんだろう?
「まるでリリア様がリヴィア様みたいな話し方をするんですね?」
しまった!
ユーグの言葉に、私とルーカス、アレクはお互いに顔を見合わせた。
つい二人の前では緩んで、昔みたいになってしまった。それは二人も同じだったみたいで。
ルーカスは大きなため息を付くと、アレクに言った。
「この二人なら良いんじゃないか?」
「そうだね……リリア、良いかい?」
ルーカスの視線を受けたアレクも、一息つくと、私に視線を送った。
「はい。二人なら、良いです」
その視線を受けて、私は頷いた。
この二人なら受け止めてくれると思うし、信用している。だから承諾をした。
私の了承を得たアレクは、二人に私が『リヴィア』だということを説明した。
◇◇◇
「そんなことってあるんですか?!」
一通り説明を聞いたユーグは、驚いて声を上げてた。
「いやー、でも、それなら色々納得出来ます!」
驚いていたものの、ユーグは笑ってすんなり受け入れてくれた。
「そりゃあ、俺なんて足元にも及ばないわけですよー」
「え?」
ユーグは何だか、ふてくされている。
「だって、ルーカス様とは運命だったわけじゃないですか。自分、ピエロも良い所ですよー」
「おい、私はリリアがリヴィアだからというだけで惹かれたわけではないぞ」
「はいはい、ご馳走様でーす」
ユーグの言葉に真剣に返すルーカスと、それを適当に返すユーグ。もうどこから突っ込んで良いかわからない。
そんな中、イスランだけは何も言わずに佇んでいた。
「イスラン、黙っていてごめんね?」
「いえ…。俺が貴方に忠誠を捧げるのは変わりませんから」
イスランは穏やかに笑って言った。何だかスッキリした顔をしている。
彼は薄々、そうなんじゃないかと思っていたのかもしれない。
でも何も言わずに、ただそこにいて、私を守ってくれていた。
「ありがとう」
私は彼の静かな優しさに感謝をした。
「……もったいないお言葉です」
イスランは、瞳を閉じて穏やかに微笑んだ。
その穏やかな空気が心地良かったけど、それは一瞬にして崩れた。
「大変です!!」
激しいノックと共に、部屋の外から慌てる男の人の声がした。
「どうした! 入れ」
ルーカスの合図と共に、近衛隊の一人が勢いよくドアを開けて入ってきた。
「失礼いたします! 只今、王都内に魔物が出現したとのこと!」
「何だと?!」
急な伝令にそこにいた皆が驚いたけど、流石のルーカスは、隊員から細かなことを聞き出すと、迅速に命令を飛ばした。
「アレク、近衛隊の指揮は任せた! 魔物を食い止めてくれ」
「了解した!」
アレクはルーカスの指示を聞くと、早足で部屋を出て行った。
「リリア、私と一緒に結界の様子を、」
「うん!」
私はルーカスの言葉を最後まで待たずに力いっぱい頷いた。
その私を見て、ルーカスは不敵に笑った。
「今度こそ私は君から離れないからな」
『リヴィア』の時は、ルーカスにも王都に雪崩れ込む魔物を食い止めてもらっていた。
あのときの判断に後悔は無いけど、一人で勝手に死んでいってしまったことを申し訳なく思っている。
「私も、ルーカスから離れないから!」
私の言葉に、ルーカスは一瞬目を丸くしたけど、すぐに笑顔になった。
「私たちもいますからね」
「そうですよ、二人で雰囲気作らないでください」
「俺だっているぞー!」
イスラン、ユーグ、トロワが矢継ぎ早に言うので、顔を見合わせた私とルーカスは、思わず笑ってしまった。
あの時とは違う。私は一人じゃない!