故意な恋~ある執事の日常~
ですが貰う方も貰う方で、奥様はいつ行こうかしらね、と楽しそうに笑っていましたし、
坊ちゃまに至っては、ありがと、の一言で平然と受け取っていました。
良くも悪くも器の大きい方たちです。
「晴人さん、あまり昔の話はしないんですけど、家族写真はリビングにずっと飾ってるんですよ」
「そうなの?初めて聞いたわ」
「時々、懐かしむように写真を眺めてるんです。無意識かもしれませんけど…」
「ふふっ、そうなのね。教えてくれてありがとう。
帰ってきたらあの人にも教えてあげましょう。きっと喜ぶわ」