故意な恋~ある執事の日常~


どんなことがあっても、伴侶の傍を離れたりしないでしょう。

「依里ちゃん、晴人はあなたに出会ってからずっと幸せそうだわ。

この間、電話したときなんて、依里ちゃんの名前を出しただけで惚気話が止まらなかったんだから」

「晴人さんがそんなことを…」

「依里ちゃんに会う前は、会話らしい会話なんて何年もしてなかったのよ?」

奥様の言う通り、坊ちゃまは早々にご自分が跡取りとして期待されていることを理解し、

誰にも文句を言わせないよう、自分を律し、努力されてきました。

そしてそれが当たり前になるにつれて、感情を失くされ、表情もほとんど動くことがなくなりました。
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