敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「これはサワラだっけ?」
「はい。煮つけにしました」
ふっくらと仕上がったから、箸でほろっと簡単に解れる。
「これもいいね。ホッとする味つけだ。さすが料理教室の先生だな」
「味、薄くないですか?」
「いや、優しい味がする。俺好みだよ」
微笑みを向けられ、頬が熱くなる。それを意識したら彼の顔を見ていられなくなり、目を泳がせた。不自然極まりない。
その後、きんぴらも大絶賛され、聖の視線はサラダに注がれた。
「これ、さっきの夏みかん?」
「はい。そのままデザートで出そうかとも思ったんですけど、それはそれでエスニックサラダにしてみました」
香ばしいサクラエビとシャキシャキと触感のいいオニオンスライスは絶妙にマッチするはず。
「アーモンドの香りがする」
「気づきました? アーモンドオイルをベースにしたドレッシングをかけたんです」