敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「へぇ。みかんの爽やかさがいいね。俺、これも好きだな」
「ほんとですか? うれしい」
どれもこれも褒められ、これぞ料理人冥利に尽きるというもの。作ってよかったとつくづく実感する。
「俺はこれから毎日こんな料理を食べられるわけだ」
「そうですね、同居している限りは」
この生活がいつまで続くのか定かではないが。
「最高の幸せだね」
「最上級の褒め言葉をありがとうございます。でもまだ一回目の食事ですから。もしかしたら聖さんの好みに合わないものを出すときもあるかもしれませんよ?」
今夜はたまたま彼の好きな味つけだったのかもしれない。
「覚悟しておく。といっても、俺はそこまで苦手なものはないけどね」
「では、そのちょっとある苦手を克服させられるようにがんばります」
「それは楽しみだ」