敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「いえいえ、これは私の仕事ですからひとりで大丈夫です」
「いいじゃないか。同居初日においしいものを食べさせてくれたお礼も兼ねて。まぁこんなのお礼にはならないだろうけど」
「でもそれじゃ聖さんはお金を払っている意味が」
「深く考えるなって。俺が七緒と一緒にやりたいだけ」
七緒に阻止された袖まくりをもう一度して、やる気満々にスポンジを掴んだ。
「あ、では濡れちゃうのでエプロンを。ちょっと待っててくださいね」
急いで自室からべつのエプロンを取って戻る。オレンジ色にワンポイントで描かれた花はいかにも女性ものだが。
「これをつけてください」
「え? いいよエプロンはべつに」
「そう言わずに、はい」
無理やり首に掛け、紐でウエストを一周させておへそのあたりでリボン結びにする。
「聖さんってなんでも着こなすんですね。似合ってます」
「エプロンに着こなしもなにもないだろ」