敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

聖は謙遜するが、イケメン料理家でテレビに登場してもおかしくない。女性ものを着けているから〝ギャップ萌え〟も高ポイントの理由だ。


「さて、早速やるぞ。俺がスポンジで洗うから、七緒は水で流してくれ」
「はい。でも聖さん、洗い物できるんですか?」
「おいおい、俺を見くびるなよ? このくらい朝めし前だ」


洗剤をたっぷり染み込ませたスポンジを豪快に握って泡立て、早速皿を洗いはじめる。


「ほら、七緒、ボケッとしてると俺に追いつけないぞ」
「はいはい」
「〝はい〟は一回」
「ふふ」


高速で次々に皿を積み上げていくから思わず笑いが込み上げる。七緒も負けずに水で流していく。


「意外と上手ですね」


手際がいいのは有能な執刀医に通じるものだろうか。無駄な動きがない。
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