敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「聖さん、ご飯が出来たので冷めないうちに――きゃあっ!」
七緒が顔を近づけた瞬間、いきなり毛布がめくれ上がる。ガバッと音を立てて体を起こした聖は、目を見開いて唖然とした顔だった。
「……そうか、七緒がいたんだよな」
寝ているうちに同居の記憶が彼方へ飛ばされたか。
しかし目を丸くしているのは聖だけではない。七緒も彼を見て口を半開きにしたまま数秒間フリーズしてしまった。
「ひ、聖さんっ、なにか着てください!」
毛布に隠れている下半身は知らないが、上半身はなにも着ていない。――裸だ。
鍛え上げられたように隆起した胸の逞しさに数秒間目を奪われたが、なんとか顔を逸らす。
「なにかって言われても困るな」
羽織るものでもないかと、聖を視界に入れないようにベッド回りを見るが、そんなものはなにもない。