敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「いつも裸なんですか?」
「そう。気持ちいいぞ。七緒も今度やってみるといい」
「わ、私は大丈夫です――って、ちょっと待ってください」


ベッドから下りようとした聖を焦って引き止める。下もなにも着けていなかったら大ごとだ。


「心配するな、パンツは穿いてる」


ニヤッと笑った聖はお構いなしにベッドから下り、クローゼットへ向かって歩いていく。

ぴったりとしたボクサーパンツに収まった形のいいヒップと、ほどよい筋肉質の背中を目の当たりにしてスピードを上げていく鼓動がうるさい。

聖がクローゼットを開けて服を着はじめたため、「朝食出来てますから」と早口で言い残してそそくさと部屋を出た。

(聖さん、絶対に私をからかってる……!)

ニヤッと笑った小癪な顔に頭の中で舌を出す。ダイニングに戻ってきても鼓動は鳴りやまず、顔まで熱い。
なにしろこれまで男性の体といったら、父親のものしか知らない。それも大人になる以前にお風呂で背中を流してあげた程度。高校は女子高だったし、中学のときにプールの授業で見た男子の水着姿は遠い記憶だ。
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