敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
(……あれ? 電気がついてる。聖さん、いるのかな)
この時間はたいてい聖も二階の自室にいて、リビングやダイニングは電気が消えているが、今夜は煌々と明かりがつき、テレビからはニュースキャスターの声が聞こえてきた。
「聖さん?」
声を掛けるが応答はない。姿が見えないためいないのかと思ったが、聖はソファで横になっていた。
折り曲げた腕を枕替わりにして横を向き、足を投げ出している。
もう一度名前を呼んでみたが無反応。テレビを観ながら眠ってしまったようだ。
「聖さん、こんなところじゃなくベッドで寝てください」
肩を揺するが、完全に寝入っている。
「困ったな……」
ソファで寝ていたら疲れは取れないだろう。かといって七緒が彼を運べるはずもない。