敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「聖さん、起きてくださーい」
ソファの前に両膝を突き、彼の耳元で呼び掛けた。
(それにしても本当に綺麗な顔……)
寝顔を間近でじっくり見る機会などないため、ついまじまじと観察する。
通った鼻筋が頬に影を作り、その高さを物語っている。陶器のように綺麗な肌は女性の七緒も羨むほど。
聖は切れ長の目が印象的な顔立ちをしているが、こうして瞼を閉じていると鋭さがなりをひそめ、あどけなくも見える。
「……なんか、かわいい」
そう思ったら、猛烈に触れてみたくなった。
息を詰め、静かに手を伸ばす。起こさないようにほんの少しだけ。
そっと触れた頬の滑らかさが気持ちよくて、もう一度指先を往復させていたら、聖がゆっくりと目を開いた。
とっさに引っ込めようとした手を取られ、声が喉の奥で詰まりヒュッと音を立てる。