敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「俺の顔で遊ぶな」
「あ、遊んでなんて……。ただちょっと触ってみたくなって」
ボソボソと言い訳をする。
「じゃ俺も」
聖は掴んでいた七緒の手を離し、かわりに肩を引き寄せた。
「きゃっ」
バランスを崩して、寝ている彼に上体だけ倒れ込む。
「ひ、聖さんっ、離して」
必死に体を起こそうとするが、首から背中にかけて腕を巻かれているため身動きが取れない。耳元あたりに聖の吐息がかかり、顔がカーッと熱くなる。
「ちょっと七緒を抱きしめたくなった」