敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
去ったはずの受難、再び
七緒は、久しぶりに祖母の暮らす家に帰ってきた。
たまに電話で連絡は取り合っているが、聖のマンションで暮らすようになってからは初めてになる。
聖と想いを伝え合ってから十日が経過。偽りでなくなった関係は日を追うごとに甘さを増し、慣れるのにもう少し時間が必要だ。
一日のうちに何度しているのかカウントしてみたくなるほどキスをされ、夜にはとろけるほど濃密な時間を過ごし、これぞ恋人の醍醐味といえる毎日を味わっている。
日課のウォーキングから帰った孝枝は、玄関に七緒の靴があるのに気づき「七緒、いるのー?」と大きな声をあげながら入ってきた。
「お邪魔してます」
リビングで待機していた七緒は、ちゃっかりお茶を淹れて寛いでいた。
「お邪魔してますって」
クスクス笑いながら孝枝がソファに座る。
「あ、ただいまだよね」