敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「綺麗さっぱり片づいたし、これで心置きなく七緒と結婚できるな」
「……けっ、こん?」


思いがけない言葉を投げかけられ、思考がフリーズする。


「俺たち、結婚を前提に付き合ってるんじゃなかったか?」


七緒の隣の椅子を引いて座り、聖がぐっと顔を近づける。


「それはお見合いを回避するためで……」
「クルーズ船でお見合いしていたとしても、きっと結果は今と同じだ。出会い方が違っても俺は七緒に惹かれたし、七緒は俺に惚れていた。違う?」


最後に問いかけておきながら、自信満々な言いっぷりは否定をまったく想定していない。たとえ違う出会い方をしても、聖とは結ばれていたに違いないという運命めいた言葉に心が揺さぶられる。


「でも結婚はしたくないんじゃないですか?」


聖はたしかにそう言っていた。お互いに好きになったのは事実だが、結婚となるとべつ。
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