敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「それは過去の俺。七緒を好きになったら、すべてが欲しくなった。心と体はもちろん戸籍も。全部が全部俺のもので、誰にも奪えない確証がほしい」
「聖さん……」
突然のプロポーズにそれ以上言葉が続かない。胸が燃えるように熱くて、ぎゅうっと掴まれたように呼吸が苦しくなる。
「俺は七緒が好きだ」
ストレートな愛の言葉と真っすぐな眼差しから目も心も逸らせない。
「私も好きです」
同じように答えた瞬間、聖がふわりと笑った。
「七緒、結婚しよう」
「……はい」
「って、ロマンティックの欠片もない場所でプロポーズなんてないよな」
今ふたりがいる場所を突然思い出したのか、聖が鼻の下を擦る。
「大事なのは場所じゃないですから」