敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
小型のクルーズ船ならいざ知らず、七緒たちが今乗っているのは全長一五〇メートルもある大型のクルーズ船。聖と出会ったあの船だ。
「こうなったら、とことんスペシャル仕様でいこうかとね。ここなら、七緒は俺のプロポーズから逃げられないっていうのも計算ずくだ」
「逃げませんってば」
クスクス笑い返す。
「そう? それじゃ恐れる必要はないな」
「聖さんにも怖いものがあるんですか?」
「俺をなんだと思ってるんだ」
頬を軽く抓られた。
「無敵のヒーロー的な」
「それはそれで光栄だな」
クスッと笑って先を続ける。
「それじゃ早速本題に入ろうか」
「今、ここでですか?」
「そう。今、ここで」