敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
メッセージの返信をしようとベッドに腰を下ろした。
「なんて返そうかな。普通の返信じゃつまらないよね」
どうせなら彼の意表をつくような返信をしたいが、意識すると余計に浮かんでこない。
入力しては消し、何度もそうしているうちに我に返る。
「私、なにやってるの」
たかだかメッセージを送るだけで何分も悩んでいることに気づいた。
結局【こちらこそよろしくお願いします】と、なんの捻りも面白みもない一文で返し、クマのスタンプで締めくくった。