敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「聖さん、私たちどうなるんでしょう。なんだかどんどん後に引けなくなっている気がします」
確実に少しずつ話が広がってきている。
「だけどよく考えてみて。俺たちが〝恋人同士〟でいる限り、ほかの縁談を持ち込まれる心配はないんだから」
「……つまり、おばさまの耳に入ったのも想定内の事態だと」
「遅かれ早かれ祖父から話はいくだろうから」
お互いの祖父母が知り合いなばかりに、話が違うほうに転がっていく。本当にこれでよかったのかと七緒は気が気じゃない。
「それじゃ同居の話はどうしますか?」
「それもアリじゃないか?」
あまりにもあっさり答える。
「でも、聖さんは他人を部屋に入れたがらないと、おじい様がおっしゃっていましたけど」
まさかこんなに簡単に聖が同意するとは。