敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「七緒は一応他人ではないし」
「いえいえ、立派な他人です。しかも知り合ってたったの三日ですから」
なんとか意見を変えてもらおうと必死になる。
「……たったの三日。そうなんだよな」
聖は一拍置いてからしみじみと頷いた。
「七緒ならいいと思えるのが不思議だな。まぁ、家政婦とは違って〝恋人〟だから」
偽りの、が抜けている。そこを履き違えられたら非常に困るが、『七緒ならいいと思える』という部分に鼓動が小さく跳ねた。そういう軽はずみな発言は慎んでほしい。
七緒の困惑をよそに聖は屈託のない笑みを浮かべていた。
「俺の食事の世話を仕事にするのはどう? 祖父から聞いたかもしれないが、ひどい食生活でね。まぁ七緒がどうしても嫌だというなら仕方ないが、いい話だと思うよ。もちろん給料は払う」
「……え?」
「使ってない部屋はあるし、住み込みで働けばいい。恋人っぽく見えるし七緒は仕事もゲット。一石二鳥だ。いくらあればいい?」