敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「……五万円ですか」
気分が下降に転じていく。
さすがに五万円では破格すぎはしないだろうか。これでも一応料理教室の講師、プロである。
でも生活費の心配がいっさいなければ、それも妥当なところか。
「まさか、一桁違う。五十だ」
落胆した七緒に向かって聖が首を横に振る。
「はい!? ごご、五十万!?」
「なに、まだ足りないか? なら――」
「いえいえ、違いますっ。それは多すぎます」
金銭感覚を疑いたくなる。あまりにも庶民とかけ離れていないか。
いったい月々いくら稼いでいるのだろう。
「なら妥当な金額を教えてくれ」
最後には七緒が料理教室からもらっていた金額を提示されたが、それでもまだ高い気がしたため、料理だけでなく家事全般を引き受けることで落ち着いた。