敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

聖が感心したように頷く。


「料理がただ好きなだけです」


それをまた仕事にできるのは本当にうれしい。たったひとりとはいえ、誰かのために作れるのは七緒にとってなにより幸せなこと。その機会を与えてくれた聖には感謝でいっぱいだ。


「聖さんは医者ならではの職業病ってありますか?」
「そうだな……」


聖は視線を斜め上に向けて考える仕草をしてから、思い出したように七緒に目線を戻した。


「街を歩いている他人を観察しながら病気の診断をするとか」
「歩いてる人を? パッと見ただけでわかるんですか?」
「詳細はわからなくても、どす黒い顔色をしていたら腎臓病を疑うし、青白い顔色は貧血。白目が黄色ければ黄疸だとか、眼球が突出していたら甲状腺機能亢進症だし。歩き方でも疑わしい病気はわかるよ」
「すごいですね……」


まさに医者の職業病だろう。
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