敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
聖は腕時計をたしかめて、おおよその時間を告げてから通話を切った。
「七緒、急患だ。すぐに病院に行かなきゃならない。同居の話は改めて相談しよう」
「わかりました」
一刻を争う事態にモタモタしていられない。七緒は急いで車を降りた。
(仕事は終わったばかりなのに急患があれば呼び出されるんだ……。大変な職業だよね)
ほかにも医師はいるだろうから、それだけ信頼されている証なのだろう。
七緒は聖の車を見送りながら、ここ数日間のめまぐるしい展開に思いを馳せつつ聖の体を案じた。