あざと女子の恋の歌はあざとくない。
とにかくあたしの恋は全く進歩していない。
「てか最近どうしたの?
前は百人一首に興味なかったのに、急に教えろとか言い出して」
「あたしだって、少しは部に貢献したいと思ってんのよ!悪い!?」
あーー、かわいくない。
あたし全っっ然かわいくない!!
「いや、嬉しいよ」
「えっ?」
「華村が興味持ってくれて、嬉しい」
「……!!」
そんな風に微笑むのって反則じゃないの!?
めっちゃキュンキュンしたんですけど……っ!!
「……別に、単なる気まぐれよ」
ほんとは緋色に振り向いてもらいたいから。
あんたの目に映るには、かるたを頑張るしかないってわかっちゃったんだもん。
あんたの前ではあざとくアプローチしても意味ないしできないんだから、がむしゃらにできることをやるしかないじゃない。
あたしはタダでは諦めないんだから。
「てか花火大会だけど、ちゃんと来るのよね?」
「行くけど」
「遅れないでよ?」
「わかってるよ」
実はこの夏休み、緋色と花火大会に行くことになってるの!
友達とその彼氏も一緒に!
夏祭りといえば、もちろん浴衣!!
あたしの浴衣姿を見たら、流石の緋色も見惚れるはず!
ふふふ、見てなさいよ……!!