雨音

紅茶をふたりで飲みながら
耐えない話をした。
『君はどこからきたの?』
『大分県の方から…』
『どうして東京がよかったの?』
『私!!将来の夢があって東京まで出てきたんです。』
『どんな夢?』
『雑誌とかにCDとか本とかを宣伝する言葉を考えたり、インパクトのある言葉を考える仕事です』
『今は何をしてるの?』
『雑用とたまにチャンスを頂いて頑張ってます。』
『そっかぁ…君は偉いね。絶対夢は諦めたらダメだよ』
そんなたわいもない話をしていた。
でも私は彼の将来の夢が
聞きたくて仕方なかった…
『あの…あなたの将来の夢は何なんですか?』
彼は紅茶を口元に待ったまま
ぴくっとなって静止した。
『ははは!!俺は有名な歌手になる事かな』
いきなり笑いだしたからびっくりした
『なれますよ!!私、あなたのファン一号です。』
そういうと彼は嬉しそうに
微笑みを浮かべていた。
どこか寂しく切ない表情にも見えた。

『そういえば…君…名前は?』
『近田 歌音です』
『珍しい名前だな』
『歌音って呼んでください』
『うん』
彼は嬉しそうに笑ってくれた。
可愛い彼の表情が愛しい
『あなたの名前は?』
『俺は阿左美 雨』
『雨!!』
『何!?』
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