わたしのかわいいだんなさま
本編
「喜べ、メリズローサ。結婚が決まったぞ」
喜べと言う割にはプライルサン侯爵がなんとも判断のつきにくい表情で告げると、メリズローサと呼ばれた娘はその美しい表情を傾げ、ほんの少し口をすぼめながら尋ねた。
「お父様、それは私が修道院へ入る日時が決まったということでしょうか?」
神との結婚。そういうことだろう、そう彼女は判断したのだ。
「いや、違う」
修道院に向かう訳でないと父である侯爵が明言した。
ということは……その先の言葉を推測して、メリズローサは唖然とする。
「まさか……そんなっ!」
「その、まさかだ」
彼女は恐る恐る侯爵の顔をうかがうと、一息吐いて姿勢を正す。侯爵はそれを確認してから重々しくも厳しい表情で言い渡した。
「先日ご生誕あそばされた、アルヴィン・フォン・バズウェルド王太子殿下が、恐れ多くもお前の結婚相手だと祝福の御宣託が下されたのだ」
メリズローサは額に手をあて、天を仰ぐ。
なんてことだ、17歳の今になって結婚相手が決まるなどとは。
しかも、相手は生まれたばかりの王太子殿下。
ああ、私の人生詰んだな。と、メリズローサは絶句した。
喜べと言う割にはプライルサン侯爵がなんとも判断のつきにくい表情で告げると、メリズローサと呼ばれた娘はその美しい表情を傾げ、ほんの少し口をすぼめながら尋ねた。
「お父様、それは私が修道院へ入る日時が決まったということでしょうか?」
神との結婚。そういうことだろう、そう彼女は判断したのだ。
「いや、違う」
修道院に向かう訳でないと父である侯爵が明言した。
ということは……その先の言葉を推測して、メリズローサは唖然とする。
「まさか……そんなっ!」
「その、まさかだ」
彼女は恐る恐る侯爵の顔をうかがうと、一息吐いて姿勢を正す。侯爵はそれを確認してから重々しくも厳しい表情で言い渡した。
「先日ご生誕あそばされた、アルヴィン・フォン・バズウェルド王太子殿下が、恐れ多くもお前の結婚相手だと祝福の御宣託が下されたのだ」
メリズローサは額に手をあて、天を仰ぐ。
なんてことだ、17歳の今になって結婚相手が決まるなどとは。
しかも、相手は生まれたばかりの王太子殿下。
ああ、私の人生詰んだな。と、メリズローサは絶句した。
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