幼馴染と、キス。


「今日はこの辺にしておくか」



それからまた少し時間が経って
気づけば夜も遅い時間。



「明日も来る?」

「うん。自分の部屋にいたら勉強捗らないし」

「分かった」



勉強道具を持って玄関へ向かうと



「千紗」

「ん?」



名前を呼ばれて、振り向く。


私に向かって伸びている佑斗の手が

頬に触れて

ゆっくりと引き寄せられて────



「おやすみ」

「あ……うん…おやすみ……」



パタンとドアが閉まっても


私は佑斗の家の前から動けずにいた。



(キス…は、幼馴染として…普通……?)



いや……違うよね?


キスってさ、好きな人同士がするやつ……だよね?



(あれ、でも、海外だとキスは挨拶って聞くし…)

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