幼馴染と、キス。


「顔。さっきからずっとニヤニヤしてる」

「き、気のせいだって」



私たちは今、

ベッドを背もたれにして
隣同士で座ってる。



「分からないところでもあった?」

「えと……」

「見せて」



佑斗は私が両手で持っている教科書を覗き込む。


トンっと、肩が触れ合った。



「なにこれ。家庭科?」

「う、うん」

「…………家庭科は今回のテストにないだろ」

「そ、そうだっけ? お、おかしいなぁ〜」

「………………」



やばい。すごく見られてる。


ジッと顔を見られて
私はその目から逃げるように目を泳がせた。


やばいな、私。
全く関係の無い教科書を持ってくるなんて。
自分でも気づかなかった。



「ふざけてないで集中しろ。」

「はい…」



怒られてしまった。

まあ今日が1日勉強できる最後の日だもんね。

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