幼馴染と、キス。
テスト終わり。
勉強ばかりの怒涛な日々が終わって
俺は1人、学校の屋上にいる。
特に用事があるわけじゃないけど、最近色々ありすぎて……何かと整理がしたくて。
とりあえず1人になりたかった。
(…あいつはキスをなんだと思ってるんだ)
ぼーっと空を眺めながらそんなことを思う。
学校の帰り道に突然「キスしたい」発言をしてきた千紗。
それを聞いた俺はもちろん、俺に気があるんだと思った。
だが。それは大いに間違い。
千紗は俺に気なんてない。
キスだって、千紗からすれば
手を繋ぐことと一緒なんだと思う。
キスしたいと突然言ってきたことについては
今でもどういう意図なのか分からないが。
まあでも、深く考える必要はない。
千紗は俺を幼馴染としか見ていないから。
この先どう足掻いたって
俺に対する感覚はそこからきっと変わらない。
(俺は所詮、幼馴染止まりだ)
悲しいが、その事実を受け入れ、
先を望むことを諦めるしかないんだと思う。
今になって幼馴染という立ち場を憎んだ。
何の関係もない、ただの同級生だとしたら。
千紗は俺に対する見方を変えてくれただろうか。