幼馴染と、キス。
「ひゃぁああ!!!!!」
「……………」
「やだ、来ないで!!」
「……………」
「無理無理無理!ほんと無理!!」
顔を手で覆い隠して悲鳴をあげる辺り、やっぱり苦手なんじゃないか?
「あのさ、ち…さ…?」
そんなに怖いなら無理して観なくてもいいんじゃないかと、そう提案しようとした時。
千紗が俺の腕にしがみついた。
ぎゅうっと。
ベッタリ密着するみたいに。
ホラー映画だからと、カーテンを閉め切っては部屋を真っ暗にした千紗。
そのおかげで顔がハッキリと見えない。
隣にいるのは確実に千紗なのに
「ゆーと…」
「…っ」
本当に千紗なのかと疑いたくなるくらいの甘えた声。
俺は千紗にとってただの幼馴染だ。
この行動だって千紗からすれば何の意図もない。
期待するだけ無駄。
「………あのさ、佑斗…」
そう 分かっているのに