恋ノ初風
春の朝。入学なんて実感は湧かない。ただ採寸した制服に袖を通すと、一気に私は高校生なんだと実感させられた。まだ型の付いてない制服。ぎこちない心具合がちょうど良くて、中学生の時もこんな感じだったんだと、記憶が蘇ってくる。あの時も凛と一緒の中学に行くって知って喜んでたなぁ。もう3年前だなんて信じられない。ときの速さは思ったより加速していくようです。どうか神様、高校生活も充実したものになりますように!朝から洗面台の鏡に向かって何してるんだろう。
「心?そろそろ時間大丈夫なの?」
リビングから聴こえたお母さんの声で虚無を飛んでいた魂が戻ってきた。
「うん。もうすぐ出る」
お母さんに返事を返し、洗面所を早足で出た私は昨晩準備しておいたカバンを取って原価へ駆ける。
「いってきます!」
「ああ、待って待って!」
閉まりかけの扉からお母さんの声がする。私は足を止めて扉をもう一度開ける。
「なに?」
「凛くんにもよろしく伝えといて頂戴」
「りょーかいであります!ではいってきます!」
「いってらっしゃい」
お母さんが笑顔で見送ってくれて、私はルンルンな気持ちで凛の家まで来た。
「えーみなさん、ご入学おめでとうございます」
入学式恒例、校長先生のお話が始まった。私の隣には凛がにいるから大丈夫!…なわけもなく…。さっきから緊張で体中が震えている。
「おい、大丈夫かよ」
見兼ねた凛君が耳元で声を掛けてくれた。
「ダ、ダイジョウブマス。ガンバルマス」
「お前超能力者だったのか?」
眼の前にいる人たちが怖くて、目を塞ぎたい。今私絶対やばい顔してるし、冷や汗だくだくだし。
「大丈夫だって。俺がいるから」
そんな乙女ゲームの主人公みたいなセリフ吐かれても。でも凛らしくていいかも。
式がようやく終わった。緊張と長い時間座っていたことによる疲れから私はヘロヘロ。
「ねえねえ」
いきなり肩をとんとんとつつかれ、思わずピクンと体が反応した。
「あの子知り合いなの?」
「あの子って?」
「ほら、さっき入学式で話してた子だよ」
「もしかして、凛のこと?」
「凛君っていうのね!どういう関係なの?」
「どういう関係って」
「付き合ってるの?」
彼女は私の返事も待たずにグイグイと詰め寄ってくる。私の後ろに座っていたことはわかるから多分同じクラスなんだろうけど、名前がわからない。自己紹介くらいしてよ。
「心?そろそろ時間大丈夫なの?」
リビングから聴こえたお母さんの声で虚無を飛んでいた魂が戻ってきた。
「うん。もうすぐ出る」
お母さんに返事を返し、洗面所を早足で出た私は昨晩準備しておいたカバンを取って原価へ駆ける。
「いってきます!」
「ああ、待って待って!」
閉まりかけの扉からお母さんの声がする。私は足を止めて扉をもう一度開ける。
「なに?」
「凛くんにもよろしく伝えといて頂戴」
「りょーかいであります!ではいってきます!」
「いってらっしゃい」
お母さんが笑顔で見送ってくれて、私はルンルンな気持ちで凛の家まで来た。
「えーみなさん、ご入学おめでとうございます」
入学式恒例、校長先生のお話が始まった。私の隣には凛がにいるから大丈夫!…なわけもなく…。さっきから緊張で体中が震えている。
「おい、大丈夫かよ」
見兼ねた凛君が耳元で声を掛けてくれた。
「ダ、ダイジョウブマス。ガンバルマス」
「お前超能力者だったのか?」
眼の前にいる人たちが怖くて、目を塞ぎたい。今私絶対やばい顔してるし、冷や汗だくだくだし。
「大丈夫だって。俺がいるから」
そんな乙女ゲームの主人公みたいなセリフ吐かれても。でも凛らしくていいかも。
式がようやく終わった。緊張と長い時間座っていたことによる疲れから私はヘロヘロ。
「ねえねえ」
いきなり肩をとんとんとつつかれ、思わずピクンと体が反応した。
「あの子知り合いなの?」
「あの子って?」
「ほら、さっき入学式で話してた子だよ」
「もしかして、凛のこと?」
「凛君っていうのね!どういう関係なの?」
「どういう関係って」
「付き合ってるの?」
彼女は私の返事も待たずにグイグイと詰め寄ってくる。私の後ろに座っていたことはわかるから多分同じクラスなんだろうけど、名前がわからない。自己紹介くらいしてよ。